「太陽の使者 鉄人28号(新)(TVアニメ動画)」

総合得点
62.6
感想・評価
17
棚に入れた
67
ランキング
4820
★★★★☆ 3.4 (17)
物語
3.2
作画
3.6
声優
3.3
音楽
3.6
キャラ
3.4

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

古き良き名作リメイク、80年代的な明るさが魅力。私の世代的に鉄人といえばこっちでした。

横山光輝原作の名作ロボット、初代1963年の白黒ではなく、1980年版です。全51話。
ガンダムやエヴァやコードギアスみたいな人が乗るロボットではなく、主人公がリモコン操作で戦うタイプ。
「ショタコン」の語源は本作主人公・金田正太郎くんから来ているみたいです。

基本1話完結で安定感のある展開、ビームもミサイルも無く、パンチキックだけの渋くもド迫力な戦闘が魅力。
…安定して楽しめる良作なんですが、古き良き60年代風なヒーロー物の範疇な為か、同時代のドラマ性の高い名作群(機動戦士ガンダムや伝説巨神イデオン、宇宙戦士バルディオス等々)に比べると地味で記憶に残りづらい印象も。
各話のクオリティーが安定しており、全編通すとワンパターンでも、毎話それなりに面白いです。
(GYAO!で久々に再視聴)

{netabare}『物語』
主人公の金田正太郎くんが、亡き父が開発した巨大ロボット「鉄人28号」を「リモコンで操縦」して、悪のロボットたちから地球の平和を守るため戦うのだ!
…機動戦士ガンダム(1979年)はおろか、マジンガーZ(1973年)以降の主流である、搭乗タイプの人型ロボットではなく、鉄人はリモコン操作だ!
特にややこしい経緯は省いて、正太郎くんが鉄人専属操縦士だったり、敷島博士が国際社会差し置いて全指揮権あるっぽかったり、いち警官の大塚警部が何故か軍の総指揮官っぽかったり、細かいことはいいんだよ!と割り切った、古き良き子供ヒーローなんですな。

基本1話完結で、敵組織が悪のロボットで悪さする→正太郎君!鉄人出動だ!→わかりました!いけ鉄人!
分かり易いです。
本人は乗って無くても、近くで見守らねばならないので結構危険。
命の危険があるポケモンバトルな感じ。
原典通り、リモコンが敵に奪われてピンチ!とか、正太郎君が生身で敵組織相手に活劇したりとか、毎回巧みに見せ場あり。
本作はあくまでも古き良き子ども向けヒーロー、無粋なツッコミは無しです。
なんで敵さん生身の正太郎君狙わないんだ?とか、色々と敵のツメが甘いのはご都合主義なんですが、そこは強引に鉄人バトルに持っていく清々しさ。

魅力は毎度のド迫力の戦闘シーンで、地味…になりがちな格闘オンリーなのに、正太郎君の指示や作戦が上手かったり、ピンチから意外な展開で逆転してのけたり、バトルが熱いです。
鉄人は地味でも、敵メカのパリエーションが豊富なのも飽きさせない。
とりあえず、毎話ワンパターンながらもバトルの見せ場が盛り上がるのは素晴らしい。
ロボットアニメ好きならば、この戦闘シーンだけで十分満足。
要所のエピソードで鉄人絶体絶命!からの逆転劇も熱いです。

初代以来のテーマ「鉄人は使う人の心によって正義にも悪にもなる」は、初代よりはマイルドというか、良くも悪くも深いテーマ性よりは娯楽性重視した感じ。
娯楽性高い作品好みです。

人助け、人命救助を重視、民間人に犠牲が出ないように苦慮する事で、ハラハラ感や工夫が生まれる展開多いのも、面白さの秘訣かも。


以下難癖
(当時)毎週楽しみに出来た内容なんですが、最近全51話を通して観ると、特に印象的な展開がブランチ(悪党)との因縁と共闘くらいしかない。
ラスボスの宇宙魔王、その息子で一度は心を通わせたグーラ王子とのドラマはイマイチ盛り上がらず。
終盤の4話程度では尺不足、結局分かり合えてない最期もイマイチ。
正太郎君は最初から完成された理想の優等生で成長要素は少ない、敷島博士の娘のマッキーとも特にラブコメの波動は乏しかったり、通して観るとドラマ性はさほど期待できない。
…ここら辺は古き良き60年代的な作風(専ら子ども向け)を色濃く残している、70年代も中盤に入ると、既に問題児主人公や印象的な敵とのドラマ重視作品が主流になっていく中では、作風の古さは否めない。

リモコン操作型スーパーロボットも、本作は巧みに正太郎君の見せ場を演出してはいましたが、敵は搭乗して負けるとロボットごと死亡する、やっぱり不公平じゃないかなぁと思わなくもなかったり。
マジンガーZ以降の圧倒的主流が搭乗型に移っていくのも、是非もないと思った。
…2015年の「コメットルシファー」は「リモコンすら要らない鉄人」タイプでしたが、主人公完全に空気に…やはりロボットは主人公が搭乗してなんぼなのかなぁ。

総じて
1話1話のクオリティー高し、通して観たドラマ性は微妙でした。
評価は4点か3.5か迷うところ。
51話もあって毎回水準以上なのは間違いないので、基本1話完結型の娯楽作品としてはかなり高水準じゃなかろうか。
スーパーロボットアニメの本質を高水準で押さえており、時代遅れではあっても、面白いものは面白いです。



『作画』
原作よりもスーパーロボットとしてのカッコ良さ大幅アップ。
今時(1980年)飛び道具も無い、でも毎話の戦闘シーンのクオリティーが素晴らしいです。
ロボットアニメの原点はロボットとバトルのカッコ良さだと思い出させてくれる。
キャラデザも今風(80年代)で十分かわいいです。(マッキーも、正太郎君も)

『声優』
正太郎君は世界名作劇場でお馴染みの山田栄子さんの代表キャラ、ショタらしさと少年らしい力強さが良い感じ。
マッキーの滝沢久美子さんの可愛らしい感じも。
グーラ王子の戸田恵子さんの少年役、アンパンマンを悪くした感じ。
その他亡くなられた方含めて豪華声優陣です。

『音楽』
OP主題歌「太陽の使者・鉄人28号」が超カッコイイ。
主題が極めて分かり易いのが良い、主題歌はこうでなくっちゃ!
毎話のバトルの山場で流れるので、鉄人バトルを大いに盛り上げている。
古典的だけど、まさにロボットアニメの王道。
戦闘作画と音楽が良い、それだけで本作の評価高いです。


『キャラ』
金田正太郎君は、結構な無双主人公でした。
本作ではあまりショタ萌え要素なし。
勇気と機智に富み、鉄人への愛情や正義の想いなど、熱さも十分。
…ただ、正太郎君は古典的な優等生主人公であり、主流がアムロ・レイやユウキ・コスモ、マリン・レイガンみたいな問題児だけどドラマ期待できるタイプに移りゆく中では、地味さは否めない。
まあ、作風の向き不向きなので、特に欠点というわけでは無いです。

敷島博士は何でも知ってる頼れる人でした。
マッキーこと敷島牧子ちゃん普通に可愛い、テニス関連のエピソードは中々に萌える。
大塚警部が意外と有能で頼れるサポート役だった。

敵はブランチが最期カッコ良く一番印象的、まあ今までやった事が外道過ぎますけど。一番多く戦った宿敵。
宇宙魔王は作中最強だけどイマイチ地味。むしろロビーに利用されてるんじゃ?と思った。
グーラ王子はプリキュアだったら途中で仲間になるタイプ、終盤駆け足で退場すのは勿体ない。
…グーラ王子の側近兼目付け役の不気味なロボット・ロビーの黒幕臭が。
いつ王子の寝首を掻くかハラハラ、宇宙魔王よりこいつが危険では?と思われたが…
終盤の彼のドラマは悪くないけれど、拍子抜けでもあり…。{/netabare}

投稿 : 2017/07/29
閲覧 : 408
サンキュー:

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