血風連あにこれ支部 さんの感想・評価
3.3
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 2.5
状態:観終わった
学園を舞台とした顔芸ギャンブルアニメ
このアニメを見て、問題点がいくつかあるなと感じました。
・舞台設定はそこそこ良いが、その舞台を生かせていないのでは?
ギャンブルのみがすべてを支配する学園という発想自体はいいと思う。
権謀術数を学ぶ、という事を建前として歪んだ学園というのは、意外とリアルさを感じる設定だからだ。
しかし何というか、釈然としない点も多い。金を賭けてるのは学生であり、自分で稼いだ金じゃないという点が既にまずい。まさに「親の金で偉そうにするアニメ」なのだが。
子供が親の金や、相続権なども含めて賭けるケースもあったりして、学内の争い事に巻き込まれる親族はたまったもんじゃないなと思いました。
せめて学内だけで使える専用の紙幣(カイジで言えばペリカなど)で勝負しとけばよかったんじゃないかと思いました。
・金の重さが軽い
全体的にこう感じる要素が多い。初対面の男にポンと500万あげたり、2億の小切手を何の疑いもなく返したり。
また、賭け金が{netabare}数百億にまで軽々しくインフレしてしまったりする。そうなると値段のつけられないものまで賭ける(例:人生)事になる。その値札の額も生徒会長が付ける事になるのだが、やはり判定基準があいまいなので説得力に欠ける点は否めなかった(相続権はともかく、この人事務次官になるから100億円って、期待値の段階でそんな額テキトーに決めていいのかと思った)。{/netabare}
ギャンブルアニメとして、この金の扱いは暴挙だと思う。カイジから利根川先生が出張してきて、一度説教して欲しいくらいに感じた。
あと、カイジで言えば生涯地下行きの借金額背負ってるのに、内臓売ったりAV堕ちする事もない。人生計画書で政治家と結婚って、マシな扱いというか。逆にそれ美味しい立場もらってるんじゃないかと思うくらいに感じました。
・ギャンブルの勝ち方がいまいちパッとしない
本作におけるギャンブルの勝ち方は、敵がイカサマやってるのを見破って勝利する。たまたまラッキーが起こって勝利する等のパターンが多い。
前者はいいが、後者のケースも頻繁に見受けられるので、やはり釈然としない。
立会人の中立性が上手く成立していない例({netabare}プレートを入れ替えては借金額を誤魔化す{/netabare}のはどうかと思った)もあったし、敵が負けるためにイカサマやるなんて話もあって、「おいおい…」って思った。
ギャンブル作品は話を考えるのが難しいので厳しい評価かもしれないが、それを考慮しても他作品と比べて突っ込みどころの多さは否めなかった。
・キャラクター設定の魅力のなさ
キャラの濃さという事ではある意味良いんだが、私はあまり本作のキャラに魅力を感じなかった。
特に夢子である。ギャンブルは大抵、金を得るか破滅かの二択のみという事になるが、これがいまひとつハラハラしないのだ。
夢子がただのギャンブラー狂だからだろうか?
それにしたってアカギと似たようなものだが、アカギにストイックさがあるという点を考慮しても、やはりイマイチに感じるのだ。
目的がギャンブルをする事で、ゴールがないからだろうか? いや、それ以前に快感を強調しすぎてしまっているのだ。
私があまり好意を持てないのは、リアルでこういったギャンブル中毒者にあまりいい印象を持ってないからかもしれない。
作画クオリティは凄くいい。
流石は片隅を作ったMAPPA…なのだが、顔芸でやたらブサイク顔が強調されてしまって、オタ受けは微妙なようだ。ゲス顔を楽しむアニメと割り切れば見れない事もないのだが、あまり多くは望まない方が良さげ。
ギャンブルの種目それ自体は面白いのもあり、料理次第では面白くなりそうな可能性も感じたのですが。
それ以前に書きだしたらキリがないほど問題点は多く。アニメ化はやはり脚本面での大幅修正をやった後ですべきだったのでは、とそう感じざるを得ませんでした。
あ、それともう一つ残念なのが最後の方の扉の塔編がカットされてた事ですね。
あれは原作でそこそこ面白いと思った話だったので、よりにもよってそこを削るのかよと思いました。まあ、最後の相手が清華で締めるのはキリが良くないという事なのでしょうけど。