蒼い✨️ さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
声優のお仕事。
アニメーション制作:GONZO
2015年7月 - 9月に放映された全13話+特別編のTVアニメ。
同人サークル『はじめまして。』(声優・あさのますみ&漫画家・畑健二郎)
による同人誌が原作。
監督は博史池畠。
【概要/あらすじ】
青二プロダクションに所属する声優・浅野真澄が、
自身の経験や実在声優のエピソードなどを絡めて描いた、業界物フィクション。
主人公・一ノ瀬 双葉は青空プロダクションの新人声優。不器用で、よく緊張してどもる。
端役をたまに演らせてもらえる程度で声の仕事は少なく、コンビニバイトで生活を維持している。
双葉は、作中のロボットアニメ「仏戦士ボサツオン」での共演がきっかけで、
同じく新人で、アイドル声優を目指してキャラ作りに余念がない萌咲 いちご、
子役あがりで15歳の現役中学生声優・小花 鈴と仲良くなる。
途中から声優ユニット『イヤホンズ』を結成してCDデビューする3人ではあるが、
知名度が低く地道な活動と仕事が続いていく。
これは、アニメの主役を演じて声優アイドル雑誌の表紙を飾るような人気声優でもなく、
夢と希望に溢れたサクセスストーリーでもなく、
他のアニメで言うところの脇役の視点から描かれた、声優業界物語である。
【感想】
仕事をするということは、賃金という対価と引き換えに職責を全うすることであり、
慣れてないから。初めてだから。そんな事情は顧客には関係なく、
金を払う顧客視点では、接客やサービスは出来て当たり前。出来ないなら金返せ!
態度に粗相でもあればクレームを付けられて当たり前。
客とトラブルでも起こそうなら店の信用問題になりますので、謝罪&処分でしょうかね。
声優業も芸能活動であり、出来て当たり前の笑顔、トーク、歌の裏側で声優が何を考えているのか?
現役で息の長い声優さんが実際に経験して実際に感じたことを元に描かれていますので、
新人たちの不安な心情には説得力があったかもですね。
作中では、堀江由衣や田村ゆかり、神谷浩史など実在声優が多数登場するのですが、
みんなイケメン・美人でキラキラしています。
多分、それは双葉の脳内フィルターを視覚化してるからであって、
業界で活躍している人は全員が眩しいオーラを放っているように見えているからでしょう。
気になったこととして主人公の双葉が、
ステージの上のタレントに憧れるお客様気分と不慣れな新人気分が抜けないままに、
プロとしての自覚も心構えもなく、話が延々と続いていっています。
未熟な新人が、→半人前→一人前に成長するのを見守る話かな?と当初抱いた予想はハズレ。
自分が出来ないことを人に対して出来て当たり前と思うのは好きじゃないのですが、
プロの端くれならプロらしくして欲しいと思う所。
しかし、そうならなかったところに、この物語のテーマ性があるのかもしれません。
全話を通してみますと、
声優という業界に対して漠然としたイメージしか持たない人間に対して、
業界の紹介と、実際に現役で活躍している立場からの、
メッセージが込められているのかもしれません。
主人公の双葉が与えられた役割は、業界に憧れる人間のアバターであり、
不器用でいつもあたふたしているという特性は声優業の色々な仕事を知らない人に紹介しての、
仮想体験になぞらえているかもですね。
主人公補正もなく、特に秀でてもない主役というのは作品がとにかく地味になりますね。
マイナーな声優といえども仕事がぼちぼち来ますので、声優になれなかった人から見れば羨ましいポジションですが。
エンタメとして盛り上がりもなく、主人公の前進も少ないままに1クールが過ぎ去ってしまいますので、
カタルシス、アニメを観てすっきりしたいという人には不向きかな?という気がしました。
これにて、感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。