どらむろ さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
異世界ロボットでショタ無双戦記!なろう系の功罪あるも、ロボット好きのツボは抑えた快作。
小説投稿サイト『小説家になろう』(通称「なろう系」)原作の異世界転生ロボットアニメ全13話です。
中世風ファンタジーでロボット物「聖戦士ダンバイン」や「機甲界ガリアン」「天空のエスカフローネ」「魔法騎士レイアース」「異世界の聖機師物語」等の系譜ですが、「幼女戦記」同様、大人が生前の記憶保ったまま子どもに転生するタイプ。
主人公が技術者気質なのも異色な、異世界ロボットヒーロー戦記です。
…主人公ショタで無双系、割と順調に展開する、異世界の聖機師物語に比較的近いかも。
主人公エル君のショタ可愛さと、なろう特有のトントン拍子で進む小気味良いテンポが魅力でしょうか。
一方でロボットアニメファンのツボを捉えており、侮れぬアニメでした。
{netabare}『物語』
生前は天才プログラマーでロボットオタクだった主人公が、死亡して異世界転生、銀髪の天才美少年エル君として、前世の知識と情熱を持ってロボット開発に邁進するのだった。
主人公が異世界に来るロボットアニメはダンバイン筆頭に結構ありますが、転生物は珍しい。
異世界のロボット「シルエットナイト」の仕組みや世界観も良く出来ており、エル君の卓越した情熱も相まって、異世界ロボット開発のワクワク感が良い感じ。
…プロジェクトX的な苦労は殆ど感じさせず、トントン拍子で夢が形になっていくのは痛快でもあり、物足りなくもあり。
エル君中心に可愛げのあるキャラ多数による雰囲気の良さ、新開発シルエットナイトで存分に戦うバトルなど終始見応えありました。
バトルは魔獣掃討戦も後半の敵国軍との戦争も中々、エル君以外の団員たちは苦戦したり奮戦して見せ場多い為か、侮れない熱さもあり。
特に後半は古き良きロボットアニメリスペクトと思われる外連味のあるセリフ回し多いのも、ロボットアニメ好きとしては好感持てる。
何気に近年のロボットアニメでも、正統派のロボットアニメの良さを感じる数少ない作品でした。
(残念ながら近年少ないので…)
後半~終盤に噴出する、エル君とライバルのマッドサイエンティスト・オラシオとの技術者魂を賭けた対決が見所でした。
ロボットバトルの一方で、技術思想でぶつかり合う。
…エル君の「合理的な兵器の発展を、己のロマン(ロボットが主役じゃなきゃヤダ!)で否定する為に打ち砕く」はある意味オラシオよりよっぽど狂っている、良いですねぇ♪
せっかくの異世界ファンタジー、浪漫を求めずしてなんとする!こういう「我儘・傲慢」好きです。
ちなみにオラシオの発想はダンバインだとオーラボンバーに近いかも。
総じてストレスフリーで、キャラ萌え面も英雄戦記もロボットバトルも高水準でした。
この世界、この物語全てがエル君の箱庭で遊び場、オモチャである。
終始順風満帆サクサク話が進むのですが、ダイジェスト感がやや残念。
後半の亡国のお姫様を英雄が救う流れも、超王道で文句は無いのですが、綺麗な絵物語を朗読されている感じ。
1クールのテンポの良さは今風の持ち味かも知れないけれど、もう少し深みも欲しかったというのは贅沢か…
まあそれでも、面白かったです。
どちらかというとエル君の狂気の方が面白かった、今後も不穏な火種あるラストで続きが気になります。
…ロボットアニメリスペクト
9話予告「戦雲がぼくを呼ぶ!」聖戦士ダンバイン予告の「戦雲がショウを呼ぶ!」
12話エル君「なんとぉー!」機動戦士ガンダムF91のシーブックの有名なセリフ
他にも色々あるかも?
同時期の「アクションヒロインチアフルーツ」にもダンバインネタありましたが(10話予告)ダンバインファン的になんか嬉しいです。
※余談
私「どらむろ」の元ネタはダンバインのオーラバトラー(ロボット)だったり、大のダンバインファン。
『作画』
キャラデザもロボットも異世界描写もかなり綺麗。
異世界ロボットバトルは十二分に満足できる内容でした。
シルエットナイトの操縦法など凝っていて見応えあった。
…EDでアディちゃんが走るのは「聖戦士ダンバイン」のEDリスペクトかな?
と思いましたが。
「機動戦士Zガンダム」前期EDの方が近いかも。
走る速度や、歌の意匠(ナイツマ・Zガンダムどちらもヒロインの歌っぽい)的に。
(えたんだーるさんの御指摘で考え改めました)
『声優』
高橋李依さんが天真爛漫なショタ美少年エル君を好演。
ショタ可愛さと狂気の気迫十分でしたが、叫ぶシーンはもっと迫力欲しかったかも。
EDも熱唱された大橋彩香さんのアディちゃんも良い感じ。
内匠靖明さん、興津和幸さん、伊藤静さんたち先輩陣も流石。
ロボットバトルでの迫力十分でした。
ジャローデク側にベテラン多くて渋い。
『音楽』
OPの雰囲気とテーマ良い感じ、途中で本編のセリフ挿入演出は「蒼き流星SPTレイズナー」リスペクトでしょうか。
アディちゃん(大橋彩香さん)歌うEDもキュートな良曲。
作中BGMや効果音も良い感じ。
『キャラ』
銀髪ショタ美少年にして天才無双するエル君が可愛い&クレイジーな奴でした。
本作で一番狂っているヤバい奴はオラシオではなく、エル君の方。
聖戦士ダンバインだとショウ・ザマではなくショット・ウェポンが主人公のようなもの。
この世界全てが己の遊び場、一切の陰り無し。
アディちゃんが溺愛するのも分かる可愛さ&周囲が飲み込まれていくに足る傑物。
…中身大人、ではなく、前世の記憶はあるけれど精神年齢は子供相応っぽい?
当初は転生設定要らんのでは?と思いましたが、ちゃんと子どもならいいのかなぁ。
お姉ちゃんとしてエル君を猫かわいがりするアディちゃんが可愛かったです。
性格も黒髪美少女なキャラデザも大変好み。
優秀過ぎる弟を持つと大変、それでも健気にがんばる、かわいいです。
見せ場は水浴びシーンもさることながら、頑張り過ぎるエル君をきちんと諭したシーン。
ちゃんとお姉ちゃんしていて可愛かったです。
キッドもショタ可愛さでエル君に負けてない。
後半のお姫様の騎士になる展開で見せ場あり。
微笑ましいです。
先輩陣ではディートリヒ先輩が好き。
作品によっては使い捨てのカマセになりがちなキャラ奮起して活躍する、良いですな。
エドガー先輩はセリフ回しが外連味あってカッコイイ、ロボットアニメしている。
老いてなお盛んな国王、王子だがヤンチャで豪放な孫など王族も良キャラでした。
亡国のエレオノーラ様は騎士物語のお手本のような気高き姫様で可愛いです。
聖戦士ダンバインだとシーラ様よりも、エレ様っぽい。
ちょっとムリして女王の務め果たそうとしている健気さが。
…彼女はもう少し掘り下げていれば一段評価変わっていたかも。
優等生過ぎて受け身な為か、惜しい。
敵国の王子は「ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり」のダメ殿下っぽいカマセでした。
配下の老将ドロテオが武人としてカッコ良かったけれど、悲しいけどこれ、なろうなのよね…敵さんは頑張ってもダメなのは仕方が無い。
ジオン公国もといジャロウデクに栄光もとい万歳ー!
グスターボが敵側では一番キャラ立っていて強かった。
味方側は優等生的なので、こいつの方が魅力感じる。
エル君のライバル・オラシオは割とよく見るタイプのマッド技術者。
でも彼の戦術思想や自尊心の方がまだ分かる、かなり狂っている彼がむしろ普通に見えるエル君のヤバさ…。
…全般的に優等生かカマセに分かれる、やや底の浅さも感じる。
それを差し引いてもキャラクターは良かったです。{/netabare}