たわし(爆豪) さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
深淵を観た少年少女が向かう先とは?
ファンタジーを主題にした漫画やアニメはゴマンとあるが、昨今、いわゆるライトノベル的なファンタジー世界ではなく西洋圏で流行っているようなハイファンタジーと呼ばれる濃い世界観を重視したアニメや漫画が増えてきた気がする。(ゲームオブスローンズみたいなね)
非常に丁寧に世界観を練り上げるだけでなく、作画や背景美術にもジブリ並みの労力を割いて、しかもTVシリーズとして発表しているのだからすごい。
ナイツ&マジックでも書いたが、恐らくは海外市場を視野に入れて制作されていると思われるのと、最近は映画よりもネットフリックスやアマゾンプライムビデオのようなネット配信ビジネスから資本が出して配信する形が増えてきている。(現に海外ドラマはほぼそれになりつつある。)
TVではいろいろ制限があってできないことをネットでは自由が利くこともあって今後も日本のアニメはそうなってゆくかも知れない。
追記:全十三話を見終わって、やはり思うのは、文学として、あるいは「生きる」ことや「死の喪失感」、「障害や病気」といった立場への理解。と、様々な意味が込められている。ということだった。
「深淵を見つめるものは深淵もまたそのものを見つめている」というわけだが、何故我々が、人として生きているのか?それとも生命があるとは一体どういうことなのかを問うものにまで発展している。
僕らが描いてるアニメーションに限らず、芸術活動というのは衣食住足りて初めて成り立ついわば「戯言」というか人間しかできない「無駄な行為」だ。
そこには、それを成り立たせている社会構造が有り、働いている人がいて、生まれてる命が有り、無くなる命もある。
そういった世の中に敬意を払いつつ、どうにかみんなが楽しめる。あるいは、みんなが驚き、驚嘆するものを作りたいと頑張っているのだ。生半可な気持ちでは作れない。
その気持ちがじわじわと作品から伝わって来るとともに、脚本も演出も作画も一流の作品だったと太鼓判を押します。
アニメーションに関わった人間としてそのことに誇りを持てる素晴らしいアニメでした。なかなかこのレベルのものは作れないものです。