岬ヶ丘 さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
約束。帰ってくること。 なるほど。
元々泣けるアニメとしてなんとなく存在は知っていた本作。
物語の序盤は基本的にコメディタッチな内容が目立ち、やや迷走。中盤からの主人公の妹の死、タイムリープ能力をもった兄の登場と、主人公がその能力を使って妹を助け出す展開は面白い。その後の海外からのテロ組織との対決の部分は展開がやや稚拙。最終的に主人公が「世界一周、能力者の能力を奪う旅」に至った心境には壮大なものを感じ、割と楽しめた。
主人公のゲス感は個人的に好感がもてたし、特殊能力をもつ思春期の男子なのだから悪だくみを考えるのも人間的だと感じた。カンニング魔の主人公が最終的に世界を救うため旅に出る、という流れも非常に面白いと思う。
主人公は妹を失った後、世界を旅する中で能力の略奪によって自我を失いかける場面など、非常に退廃的な描写が多かった。演出や声を演じる内山さんの演技も相まって、この退廃的なシーンは胸に来るものがあった。本作の大きな見どころだと思う。
主人公が立ち直るきっかけになったヒロインは基本的にクールで淡白な印象。終盤の告白のシーンなどにその傾向が顕著だったが、もう少し優しい感じの女の子にしてもよかったかな。主人公が立ち直り頑張る動機がやや希薄になってしまういうか、二人の温度差があったのは少し気になった。この作品自体が完全なハッピーエンドではないので、ヒロインがご都合主義である必要はないというクリエイター側の狙いもわかるが、ヒロインの好みは別れるかも。
※キャラクターコメンタリー最終話にて、ヒロインがこれでもかとデレていてキャラクターの印象が大きく変わりました。やっぱり友利かわいい。主人公の変わりようもすごいですが、いい恋人同士になってます。
恐らく主人公含めもう少し報われてほしかったという感情が、この作品の不思議な余韻に繋がっていると思う。何度か繰り返し見ていく中でより作品内の時間軸や、作品のメッセージが理解できるようになっているのではないかと思う。タイムリープ関連のエピソードに設定の粗は感じたものの、最終的にはオリジナル作品らしく思いもよらなかった所まで物語を押し上げてくれたのは期待以上。
前半と後半で作品の温度差が違う、コメディが若干寒いなどのレビューにも共感できる部分はあるが、それらを含めてもなかなか面白い作品だった。