M.out さんの感想・評価
1.5
物語 : 1.5
作画 : 1.5
声優 : 1.5
音楽 : 1.5
キャラ : 1.5
状態:途中で断念した
テンプレ過ぎて最先端をいく
<1話段階の感想>
アニメに限った話ではないが、話には難しい物語と分かりやすい物語が存在する。その難しさを示すパラメーターの一つに「登場人物の内面を重視して描いているかどうか」というものがあるだろう。
それを重視すれば心情を読み取りながら観る必要があるので、読解力が必要になる。対して、内面を重視しないものは「どんな展開になるか」で話を引っ張るため、比較的分かりやすくなる。
さらに、異世界転生というテンプレの捉え方は様々あると思うが、展開を容易に見せるためのシステムと考えることも可能だ。
ここでようやく、本作の話になる。
本作をキャラの内面重視か、展開重視か、という指標で考えると、極端に「展開重視」なのである。ここまでの話は見たこともない。よって、キャラの心情はほとんど消滅している。
まるで仮面でも被っているのうな表情の変わらない主人公、その場の状況下において、意図なく発せられる言葉。
一般的に「日常系」と呼ばれるアニメはキャラの魅力(内面とは別のもの)を描くが、本作はそれもしない。「死んでしまった、どうしよう」「転生することになった、どうしよう」という展開の運び方のみに重点が置かれる。
友人は「御都合主義過ぎてつまらん」と言っていたが、これはキャラが能動的に行動しないためであるし、展開を製作者が意図的にキャラへ与えなければならないからだ。
だいたい、主人公の圧倒的にチート感を描くためには、周囲の人間の「なんだあれは!?」みたいな反応が必要であるが、キャラの感情のないこの作品においては薄っぺらい反応しかしないので、カタルシスに欠ける。
展開で魅せるならば「スマホ×異世界」の中で生まれる戦略ないし、意外な着眼点が必要だがそれもない。(これは1話だから仕方ないかも)
これは意図的な演出なのか、それともアニメ化するくらいだから、ここから面白くなるのか。
しかし、2話以降はみない。
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<2話感想>
とか言いつつ、2話を視聴してしまった。そして、ようやく分かった。これは「メタなギャグアニメ」であると。根本的な物語の破綻こそが本作の味であり、一周回って笑えてくる。物語の中に面白さを持っているわけではなくて、視聴者が物語を消化する段階になって、その歪な形に面白さを感じる。尽く意外性消し去り、テンプレを追及することで生まれたギャグ。
これは新しいアニメの形であり、既存のものに縛られて観てはいけないのである。しかし、3話以降はみない。