M.out さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
本当のスポーツもの
原作はとんでもなく凄いのであるが、アニメも同じくらい凄い本作である。
圧倒的センスは言うまでもない。音楽、原作のリスペクト、演出、さらに台詞回し。これだけでも、視聴を続ける推進力にはなるのだから、ホントすごい。しかし、当然ながらそれだけではない。
スポーツものをやるとき、主人公は始めから才能を持っている場合がほとんどだ。その上で、才能を伸ばすための「努力」に焦点が当てられる。
しかし、本作ではそんなありふれたことはしない。才能が勝つ。才能のない者は負けていく。人がどこまで行けるかは、生まれたときに既に規定されている。(ネタバレに続く)
{netabare}
この作品の魅力は、才能を持たない負ける相手にあると思うのだ。絶対的な才能を努力で打ち負かす、という夢物語はこの作品にない。
しかし、そこに確かな救済を描く。才能はないけれど、その物事に打ち込むのは何故か。救済の根底には、その疑問への肯定が含まれている気がする。
どこまでも現実に即して描かれる故に、その救済される姿は我々に響くものがある。
勝つべき者は勝つ。負けるべき者は負ける。我々の持つ、その必然的な在り方の悲観を綺麗に拭い去る。このアニメの試みは、他の作品と比較しても一線を画するものがある。
こんな作品が増えるべきだと思う。
{/netabare}
布教できない原因を聞いていると、絵の敷居が高いと感じる人が多いらしいが、もったいない。これだけセンスに満ちた作品など、現代にそうそうあったものではない。
この作品もスタッフの才能によるものである。