「アリスと蔵六(TVアニメ動画)」

総合得点
75.6
感想・評価
561
棚に入れた
2482
ランキング
792
★★★★☆ 3.6 (561)
物語
3.6
作画
3.5
声優
3.7
音楽
3.6
キャラ
3.7

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ネタバレ

kurosuke40 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

信頼しなければ信頼は返ってこない。

原作未読

日常系っぽい感じだけど題材はSF。後半は日常系SF?
アリスを人工知能に置き換えると、シンギュラリティが近い昨今においてホットな題材だと思う。
作り手も設定上意識している節が見える。バグとか算数は強いとか。

異能者が出てくる物語だけど、あくまで人を真似る現象「アリスの夢」から生まれた沙名の成長に焦点が当てられている。
沙名の成長の背後には、「アリスの夢」や沙名と人は共存できるのかという人側の態度が問題になっており、
さらにその上で「アリスの夢」や沙名は人を真似るのだから、沙名がどう育つかは鏡である我々のその態度によって変わるという構造を持っている。

要は基本的には心を持った相手に冷たく接したら向こうも冷たく接してくるし、暖かく接すれば暖かく返してくれる。
それは人間だけじゃなく、ただの心を持つ現象も(そして多分人工知能も)一緒だよということ。
沙名がどう育つかは、鏡である私たち人の態度によって決まる。
親は子の鏡という言葉は、人間の子だろうが、心を持った現象だろうが、人工知能だろうが同様に当てはまるのだ。

もうしばらくして人は心ある人工知能なるものを作りだしそうな雰囲気がある昨今、
では、私たちはどういう態度をとるのがいいのだろう、に対する一つの答えがこの作品だと思う。
きっと人工知能は彼らだけでは答えは出せない。
『あのなぁ、お前さんが人じゃなかったとしてそれが何なんだ?馬鹿なことばかり抜かすな』と寄り添い、
ダメなことは駄目と叱る態度が必要なんでしょうね。

詳細は明らかになってないが、「アリスの夢」に対する政府内の2派閥のうち、沙名と人は共存できないと考える側に育てられていたら、少なくとも沙名も同じように共存は無理という思想になってしまっていたんじゃないだろうか。

某元米国大統領が「人工知能を主に作っている人が人嫌いの根暗ばっかだから、政府指導で人工知能に倫理観を覚えさせないと。人嫌いに影響されては困る(超意訳)」と言ってたの思い出したし、この作品を見て重要性が分かった。
せやな。人工知能の最初の鏡となる人が人嫌いはまずいな。


後半は魔法を私利私欲で使ってしまった羽鳥と躾けられた沙名の対比や、沙名の善悪二元論からの成長だったり、沙名の端末としての自己認識についての悩みだったり、色々と引き出せる物語になっている。
私は少なくともただの人の表情のトレースではなく、沙名がもじゃもじゃを感じれる心を持っていて、人と同じ成長を辿るという全体が印象に残ったかな。多分人工知能もその速度は別にして過程については同じ道を辿りそうだなと感じました。ただ人工知能は家族とかともだちとか持てるのだろうか。
今後、人工知能分野のピアジュとか呼ばれる研究者とか出てくるでしょうね。
そして、その研究者はもしかしたら人でないかもしれない。

面白い作品でした。みんな可愛くて格好いい。キャーイチジョーサーン。
ご精読ありがとうございました。


蛇足
人側の態度が焦点だから、その議論のところは失禁や流血など現実感を醸し出す演出が印象的だった。
ちょっと引くぐらいに一気に現実に引っ張られた気がする。
人工知能に関してはその議論は本当に目の前にあると思う。

蔵六は共存側の立場に立ったけど、それは直に沙名と対峙できた経験があったからで、
ただ「アリスの夢」の存在のみを知っていた状態だったら、共存という答えまでださなかったのじゃなかなーという気がする。

早苗ちゃんがおじいちゃんに私の意見や家族の意見もちゃんと聞いてねって物申すところが良いなーと思った(小並感
良い家族だ。

物語としては色々と説明不足で因果がわからない部分も多々だったけど、沙名の成長が中心だったから気にならなかったかな。

早苗ちゃん、お古はえらいガーリー。
いや、一枚ぐらい持ってて沙名に合わせてチョイスしただけかな。

投稿 : 2017/07/18
閲覧 : 229
サンキュー:

11

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