Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
略称「すかすか」 けれど溢れんばかりの思いが詰め込まれた作品だと思いました。
この作品の原作は未読です。
でも意味深なタイトルとメインヒロインのクトリの綺麗な蒼色に惹かれ…田所さん、いのすけが出演されると知り視聴を決めた作品です。
タイトルに「救ってもらっていいですか?」という言葉が入っているので、物語の展開として切なさは予感していたつもりでしたが…
やっぱりとても苦しい作品だったと思います。
この物語の主人公は、ヴィレム・クメシュ…彼の過去は本編で明らかになるので割愛しますが、見た目とは大きくかけ離れた時間を過ごしてきた人間で、物語の行きがかり上、倉庫の管理者となって話が動いていきます。
倉庫の管理者…といってもそおの倉庫は物品を保管している只の倉庫ではなく、黄金妖精と呼ばれる女の子たちが生活している場所だったんです。
ここには7-15歳の妖精がいるのですが、彼女たちの存在理由がこの物語最大の切ない点だと思います。
いま、この世界は滅びの危機に瀕していて…その進行を食い止められるのは彼女たち黄金妖精だけ…
そこには自らの意志は存在せず、運命に翻弄されるように剣を振り、自らの意志が微塵も介在することのできない選択を鵜呑みにする…そんな世界が広がっていたんです。
15歳といえば中学生くらい…好奇心も旺盛で色んな事を吸収したいと強く願う年頃だと思います。
お洒落な服を着て可愛く着飾りたい…そして恋もしてみたい…
そんな自分の欲求に対して貪欲である事が許される年頃の筈なのに、どうして何もかも手放さなければいけないんだろう…
ここは救いようの無い世界だ…と本気で思っていました。
でも彼女たちには希望の光が残されている事…
ただ運命に流されて生きる必要なんてない事…
それを諭したヴィルムの一言に救われた気がしました。
これまで無かった希望を感じる事ができると…目の前が明るく開けるような気持ちになります。
そしてそれは妖精も一緒…
だから「これまで」と「これから」は全く別のモノにならなければいけなかったんですけどね…
きっとプロセスは全然違っていたと思います。
だって必死に足掻いたから…
足掻いて、足掻いて、足掻きまくったから…
そうして欲しいと願うモノを全力で手に入れようとしたから…
だからこれまでだったら絶対手の届かなかった欲しいモノに手を伸ばすことができた。
こんな時間がずっと続けば良いのに…
特別や例外があったって良いじゃない。
だって、こんなにも幸せそうな笑顔を壊す事なんて出来ないよ…
でも彼女たちに課せられた宿命が希望に鉄槌を打ち込むんです。
個人の意志というフィルターを通しても、身体に染み付いたこれまでの生き方が彼女たち自身を許してくれないんです。
だから危機が迫ると彼女たちは救おうと必死に立ち向かうんです。
本当に救って欲しいのは彼女たちのはずなのに…
「守りたい」と彼女たちが本気で願った末の言動…絶対に目を離す事なんてできませんでした。
例えどんなに心が痛んでも、それが彼女たちの選んだ道なんだから…
でも、最終話で見た2枚の顔写真…思いがあったと分かっていても見ていて苦しさは否めませんでした。
この世界に…彼女たちに救いはあったのか…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
オープニングテーマは、田所あずささんの「DEAREST DROP」
エンディングテーマは、TRUEさんの「フロム」
オープニングの曲調、エンディングの歌詞…どちらも素晴らしくお気に入りの楽曲です。
1クール12話の物語でした。
嬉しいのは原作を最後まで描き切って頂いた事です。
視聴していて切なさや苦しさを感じた作品ではありましたが、その感情に納得できる構成だったと思います。
レビューを書くためにwikiをチラ見した時、衝撃の事実を見てしまいました。
何と5年後の世界を描いた「終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?」が現在連載されているのだそうです。
誰が、誰に願っているのだろう…このタイトルは色んな解釈ができるので、内容が気になって仕方ありません。
こちらもアニメ化される事を願っています。