Progress さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
探窟家とロボット アビス製
ファンタジー物よりは青春系の作品が好きな私ですが、たまにはこういう作品の感想も書いてみたいと思い、頑張ってみます。
{netabare}
◆神秘的な穴を中心に描かれる人間模様
この作品を語るにあたり、多くの方がその世界観の魅力を語っています。
アビスと呼ばれる、孤島にある大穴。その大穴は底が知れず、生きている動植物は独自の進化を遂げ、時に美しく、時に人に牙を向く。その神秘的な風景や丁寧に描写され説明される生物達に、未知への冒険に対する夢や好奇心を感じるまでに作り込まれています。
探窟家達はアビスに潜り、遺物と呼ばれる超科学な力を持つ宝を持ち帰ってくる。アビスを調べる事、遺物を持ち帰ること。探窟家には色々な目的があるかも知れないが、そこには人間の飽くなき探究心が集まっています。視聴者にも、アビスへの探究心が芽生え、もっとアビスの世界が知りたいと思わせる、それがこの作品の魅力です。
◆リコとレグ、そして二人を取り巻く大人たち
リコはアビスに潜ったままの行方不明の母親に会いに行くため、アビスヘ潜ります。同時に、母親のような立派な白笛(優秀な探窟家)になることも夢見ています。
ここで、リコの心理的成長については、今回、あまり語られることはありませんでした。むしろ、リコの生い立ち、リコの母親、リコの知識的な成長などといった事が多かった。
リコの目的への決意は堅く、無邪気で負けん気の強い性格により迷いのない姿は、確かにあどけなさの塊、子供だ。目的に対する明るさや、その向こう見ずなところが、作品の物語一話一話にポジティブな方向性をあたえています。ここで、
リコはいわゆる物語の起点であり、提案者であり、他人を巻き込むタイプ。他人にイベントを提供して、他人がそれによって成長するための役割なのだとおもいます。
ではそのリコに巻き込まれやすいレグは一体どのような人物?彼はアビスでリコが拾った遺物であり、機械仕掛けのロボット。
彼の腕にはビーム兵器が搭載されているのだが、彼の製造目的が気になるところ。少年兵型ロボットなのか、それとも護衛用、防御用として持たせたのか…いずれにせよ、知能のあるロボットにあんな高火力の兵器を持たせるとは普通の目的ではないと思っています。
話がそれましたが、レグはリコを守ろうと責任感が強い。また、ナナチとミーティアとの話では、辛い選択で苦しんだりと、優しい一面もある。
成長した部分は、リコの危機においてレグ自身の無力さを自覚する一件以来、リコを守らねばという思いがより強くなった感じがしますね。リコがいつも危機的状況になった時に、一人では助けられない状況になり、そのたびに強くなろうと決意していきます。
さて、リコ達を取り巻く人々の様々な人間模様も魅力となっています。母親の関係者であったり、リコがいた孤児院の仲間達のその後であったり、新しい仲間のナナチであったりなど、とにかくレグリコ以外の登場人物の描写が多い。ナレーションやサブキャラクターの描写から、世界観、レグの過去への伏線、目的となる謎多き母親との繋がりなどを描く。母親から続く冒険譚というストーリーに連続性をもたせ、探究心をくすぐる要素が含まれていて、続きを楽しみにさせる要素はここ(第三者視点)が強いと感じました。
◆世界観描写に重心を置き好奇心をくすぐった作品
個人的にはリコレグの当事者視点のみであったほうが作品の主人公としての成長や感情の機微ももっと描かれたと思いますが、ナレーションやサブキャラクターによる第三者の視点も含め世界観の描写をすることでより世界観を深め、またリコレグの過去、未来すらもそうやって謎をばら撒くことで好奇心をくすぐる事に大きく成功しているかなと思います。
アニメーションで冒険的なワクワクをしたい!という方にとってはオススメですね。 アビスの世界観を細やかに、そしてそれを中心として描いているので、映像から感じる作り込みのクオリティを高く感じることができるかもしれません。{/netabare}