Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
今度のお題は無形文化遺産の一つである歌舞伎…
この作品の原作は未読です。
これまで日本の伝統芸能といえば、落語を取り上げた作品が幾つかアニメ化されてきました。
最近では「昭和元禄落語心中」…少し前に「じょしらく」…私は未視聴ですが「落語天女おゆい」などが挙げられます。
でも歌舞伎を題材にしたアニメは、これが初めてなのではないでしょうか。
落語は「笑点」がテレビ放送されているので未だ身近に感じる事ができますが、歌舞伎となると一気に敷居が高くなる気がします。
歌舞伎を題材にしたアニメって面白いんだろうか…?
しかも…歌舞伎をまともに見たことのない私が面白さを感じられるんだろうか…?
只でさえ毎期の視聴作品数がどんどん増えている状況の中、切らざるを得ない作品も増えてしまうのも仕方ないかと思います。
だって費やせる時間は限られている訳ですから…
でも、これまで先入観から入って沢山間違ったのも事実です。
そこで、数話見てから判断しよう…と思い視聴してみた訳ですが…
作品に対してあまり難しく考える必要なんてない事を改めて痛感しました。
歌舞伎自体は今の生活に馴染みは薄いかもしれない…
でもその様に生活している人は私以外にもきっと沢山居ると思いますし、それでも何より作品が面白いから様々なメディアで取り上げられている訳ですから…
この作品の主人公である来栖黒悟は、亡き祖父の影響で幼いころから歌舞伎が大好き…
物語は彼が高校に入学して、有志を募ってみんなで一緒に歌舞伎をやろう…という感じなのですが、結構熱い展開が繰り広げられるんです。
学校の部活動に歌舞伎がある方が珍しい訳で、一から作りこんでいく必要があるのですが、最初にぶち当たるの壁が「仲間を集めること」
私でも歌舞伎の良さは正直良く分かりませんので、今の若い子はもっと良く分からないと思います。
面白さが分からない事に全力投入…なんてきっとできません。
でも来栖は絶対に諦めないんですよね…
だってそれが自分の一番やりたい事なんですから…
歌舞伎の面白さを素人に伝え輪を広げようと彼が放つ情熱は、決して嫌いじゃありませんでした。
むしろ好印象と言った方が合っていると思います。
彼の情熱が周囲のどの様な影響を与えていくのか…この作品の見どころの一つだと思います。
でも、部員を集めるだけなら歌舞伎を題材にする必要は全くありません。
そう…これは高校生が部活動の一環で歌舞伎を演じる物語なんです。
だから、物語の中でもしっかりと歌舞伎が演じられます。
折角視聴するなら楽しみたい…
だけど、自分は歌舞伎の楽しみ方が分からない…
こう思っていましたが、この作品の人気の秘密はこの先にありました。
観客に対する徹底的な心遣いが、観客を通り越して視聴者にまで伝わってくるような展開が待っていてくれたんです。
格式ある伝統芸能に敷居の高さを感じるのは日本人ならきっと仕方のないことだと思います。
けれど、もともと歌舞伎は庶民が楽しむ娯楽であったこと…人々が楽しむ娯楽であったことなど、物語の中で丁寧に教えてくれるんです。
それに徹底的な心遣いが付加されるんです…作り手の視聴者に対する優しさを感じずにはいられません。
何より楽しそうに歌舞伎と向き合う登場人物を見ていると、この世界に引き込まれそうになりました。
今は知らないことだらけ…けれど、向き合ってみると案外面白いのかもしれない…この作品にはそう感じさせて貰いました。
内容の気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
オープニングテーマは、下野紘さんの「Running High」
エンディングテーマは、カブキブロックスの「お江戸-O・EDO-」
1クール全12話の物語でした。
歌舞伎を知らない人でも楽しめる作品だったと思います。
個人的には終わり方にも満足…
今後の彼らの益々の活躍を期待しています。