蒼い✨️ さんの感想・評価
2.3
物語 : 1.5
作画 : 2.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
Patora's Dream Note.
アニメーション制作:プロダクション リード
2017年7月 - 9月に放映された全12話のTVアニメ。
原作は、「小説家になろう」に連載していたweb小説がホビージャパンの目に止まり、
書籍化で『HJノベルス』から刊行されている冬原パトラのライトノベルであり、
原作イラストは、『ゼロの使い魔』と同じく兎塚エイジが担当。
『月刊コンプエース』にて、漫画家・そとによるコミカライズ版が連載中。
監督は柳瀬雄之。
【概要/あらすじ】
神様の手違いで落雷で死んでしまった15歳の少年・望月冬夜は、
地球とは別の世界で生き返り新しい人生を送ることになった。
神様は地球も含めて多数の異世界を管理する最高神であり、とても偉い存在らしい。
もしかすると、キリスト教・ユダヤ教・イスラム教でいう創造神であるとも思われる。
その割には、腰が低すぎてペコペコしていてマダオな爺さんなのだが。
冬夜少年にひたすら謝る神様だが、
『起きてしまったことを どうこう言っても しかたないですよ』
やたら物分りの良い少年の態度に対して、
『達観しとるのう』
『……本当にお前さんは 人間ができとるのう』
ちなみに生前の冬夜少年は彼の友人視点では、とんでもない少年だったらしい。
普段は温厚で飄々としているが、怒らせたらドン引きする行為に走り出す。
盗んだスクーターを無免許で二人乗り。
敵だと認識したら、暴行は加えないものの相手を徹底的にえげつなく追い詰めて、
必殺仕事人気取りで破滅させるという。
女性へのストーカー行為&彼氏をリンチした暴走族の総長を“おしおき”で潰した実績があり、
作者視点では英雄的な資質を持った“やんちゃ坊主”の模様。
亡き祖父が武勇伝に事欠かず政財界や芸能界、そして世界中に友人を持つ日本の影の顔役であり、
その伝手で暴力団組織の組長にも顔が利くことも、なろう版の#350と#447にて発覚。
ちなみに“おしおき”の際には祖父の名を出して直に組長と電話で会話をしている。
人間ができとるのう…とはなんだったのか?
冬夜を元の世界に帰せないお詫びとして、やたらと面倒見が良い神様は、
異世界で簡単に死んだりしないように肉体能力や記憶力を最大限に底上げ。
魔法のある世界なので、全属性OKで魔力もMPも∞という魔法力大サービス。
そして、ありとあらゆる技能を初見でも練習なしでも使いこなせるようにされた状態で蘇生した。
肉体の修復には神域の物質を用いたので、冬夜少年は生物学的には神と同等らしい。
あと、冬夜の願いで異世界でもスマートフォンを使えるようにしてもらった。魔力で動く異世界仕様として。
冬夜は剣と魔法の世界でスマホ、そして魔法で自作した銃を構え、蓮舫を彷彿させる白いコートを身に纏い、
チート能力を用いてあらゆる問題を一瞬で解決し、様々な人物と出会い人脈を広げていく。
冬夜の名声は高騰の一途。次々と女の子をゲット!この世界の最重要人物になっていくのではあるが、
アニメでは、どこまで語られるのかはわからない。
【感想】
このアニメは、ニコニコ動画でコメント付きで視聴するのを推奨します。
『幼女戦記』を雑誌で読むために『月刊コンプエース』を購読しているのですが、
それにコミカライズ版が連載されていまして、ついでに読んでいました。
ということで作品の存在は知っていたのですが、まさかのアニメ化!
これは要するに、自分を善良な一般人だと思いこんでる価値観がずれている少年が、
自分の努力と経験に依らずに、神からすべての分野で最強にしてもらい、
そして、便利な無属性魔法という名の四次元ポケットのひみつ道具をノーリスクで使い放題という設定。
そして主人公の相手になる強敵がいない。搦め手・謀で主人公を追い詰める賢者もいない。
要はドラクエ3で最初から王者の剣を持ってて魔力チートでMP無制限でギガデイン打ち放題みたいな話。
「鴨が葱を背負ってくる」適当なトラブルが毎度舞い込んできて、
中学生レベルの思いつきと神チートと無属性魔法を用いて瞬時に解決。
その結果として常にハイリターンのお礼がもらえる。
それは家が買えるほどの多大な報酬であったり、権力者の後ろ盾であったりでウハウハという。
そしてたくさんの女の子からはモテモテ。
浅薄極まる軽薄なストーリーですね。ガモウひろしの作画でやるのが順当。
いや、『とってもラッキーマン』のほうが、これより面白かったかも。
ライトコメディとして主人公の活躍を楽しんで欲しい!というのが作者の意図なのでしょうか?
なろう、とりわけ異世界転生ものとして極まっていますね。
ξ異世界転生のテンプレξ
平凡な高校生 or 無職のおじさんが事故死。
↓
あの世で、やったらノリの軽い神様(女神もあり)とご対面。
↓
『手違いで死んじゃったゴッメーン!!(テヘペロッ)
元の世界には戻せないけどウンタラカンタラ』
転生特典をあげるから異世界ライフをエンジョイしてみない?
みたいなことを言われて、ネトゲみたいなファンタジーな異世界に飛ばされる。
↓
気がつけば中世っぽくて魔法が使える異世界。
レベル、ステータス、スキルが可視化。
任意でウィンドウが開けて数値化されているのが閲覧可能。
いきなり魔物に襲われたりするけど、
ためらいなく魔物の首を刎ねたりするサイコパスな主人公。
↓
とりあえず、手頃な街で冒険者ギルドに入る。(身分証明書ゲット)
↓
性格が悪い先輩冒険者は必ず男性であり、主人公に喧嘩を売る噛ませ犬である。
また、改心イベントも無く噛ませ犬が殺害される頻度が高い。
若い女性はもれなく初対面から主人公に好意的であり、主人公を見つめる目がハートーマークになっている。
主人公が何かするごとに頬を赤らめて褒め称え惚れ直すのが仕様である。
なお、噛ませ犬男とのトラブルは、新入りのくせに偉そうな主人公ムカつく!
もしくは、女性に粘着して主人公に恥をかかされる等、主人公と女性の親密度アップイベントの生贄でしかない。
↓
『俺、大したことをやっちゃいませんよ!』
必死に汗かいて努力している現地人は概ね噛ませ犬であり、
人品優れて努力と功績が認められている実力者であろうと、
神チートで能力値MAXがスタート地点である主人公の前では赤子の手を捻るが如くの扱いなのが常である。
主人公は涼しい顔をして適当に、うろ覚えでもスキルを使っていけば全て成功して無双を繰り返す。
ゴロツキに絡まれてる女の子を助けるといった類のイベントが多数用意されていて、
お姫様や女騎士に奴隷少女にロリ。更には亜人や人外まで選り取りみどり。主人公専用ハーレムは増加の一途。
しかし、主人公に若い男の友人が出来ない。
イケメンが出てきても女キャラはもれなく主人公以外は眼中に無く、
女キャラが主人公の素晴らしさを語るダシとして扱われる引き立て役、もしくは悪役。
誰でも知ってる現代知識を異世界に持ち込んで、主人公は天才だと持ち上げられる。
“なろう”作者がアレなせいか、こんなのがあります。
・肉の両面焼きを教えただけで主人公すっごーい!
・金貨100枚を数えるのに一枚一枚手にとって確認するではなくて、
10枚ガバァ!を同じ高さに揃えて10セット繰り返すだけで現地人に驚嘆される。
・300名の人間兵で5000匹の屈強な魔物の大軍を包囲殲滅する。
・畑に砂糖を蒔いたら作物がすくすく育つ謎農業。
・ふわふわした内容なのにイジメ描写だけやたらリアル。
主人公は作者のアバターでありリアルで作者をイジメてる奴(ミ○モト)が、
主人公のハーレムメンバーに『気持ち悪いゴミムシですぅ』と言われたり、
リアルでやり返せない代わりに“なろう”作中で叩かれる役という疑惑。
・「知っているかい? 鉄は熱に弱いんだ。これ小学生レベルの知識だよ」
↑鉄の鎧に火矢を放ったらバターみたいに金属がドロドロに溶けるという謎物理。
鉄の溶解温度は1538℃ですが、我々の世界とは物理法則が違うようです。
『異世界はスマートフォンとともに。』でも、例に漏れずって感じでして、
異世界チートハーレムな“なろう”作品は“天才”な主人公へのツッコミが完全に追いつかないのが多いですね。
さて、このアニメの主人公の環境とはサラリーマン金太郎がマトモに見えるぐらいの、
誰でもヒーローになれる神様お手製の超イージーな接待プレイであり、努力なしにチートで重婚ハーレムを作っていく。
拾った宝くじで3億円ゲット。道端で助けたお爺さんがアラブの大富豪で、お礼にブラックカードを貰っちゃった!
みたいなイベントが毎エピソードで複数回、発生するのがデフォ。
どんな問題も、カップラーメンが出来上がるよりスピーディ解決。過程が超簡単だから、ハラハラ感も感動もない。
主人公の貰い物の力は、例えるなら受験勉強を一切してないのに東大に首席で合格できる学力をプレゼント。
野球のド素人が幼少からの積み重ねもなくある日突然に大谷翔平以上の二刀流スペックになれるみたいな。
富・名声・ハーレム・超兵器と、いつもいつも努力も苦労も挫折も全くなくサクサクと結果がついてくるあたり、
働きたくないし宝くじ当てて一生豪遊したい、みたいにファン層の潜在的な願望を代行しているのかもしれません。
泥臭い苦難とストレス展開なんて現実世界で十分だ。
主人公のストレスフリーな栄達を見て、ファンは癒やされるものがあるのかもですね。
まさに、スバルやカズマが行きたかった世界。これがテンプレ的な、“なろう”系ワールド?
無論、工夫を効かせて面白い異世界転生モノも多く在ることも知っていますが。
登場人物も、主人公の都合で動かされてる駒でしかないですね。
主人公の冬夜少年が実は言い訳だらけの人間。に加え各国の要人が主人公に驚き褒め称えるだけの存在。
でてくるヒロインたちも全員が主人公を好きなのですが、その恋愛過程がやたらと雑。
双子 → チンピラに囲まれてたのを首を突っ込んだら大好きになりました。
ござる → ご飯奢られたので、一宿一飯の恩義で惚れたでござるよ。
姫 → 父王を助けられ気に入ったので嫁に行きます。
伯爵の陰謀を察知できなかった魔眼能力で彼を鑑定したので大丈夫です。
とりあえず最終回までに主人公に告白した4人がこれ。ちょろいですね。
4人共インスタントに即落ち→恋愛感情が育つ課程?そんなの面倒くさいからカットカット!
女どもが主人公の好感度をあげたときの台詞がこんな感じ。
姉『さすが、あんたね!』
妹『冬夜さん…すごいです!』
ござる『流石は冬夜殿でござるな!驚きでござるよ』
お気づきでしょうか?
A.神から貰ったチート魔法力によってヒロインの望む結果が得られた時。
B.スマホで検索した地球に存在するものをモデリングでパクッて異世界に持ち込んだ時。
自力で頑張った要素ないじゃん!貰った力と盗んだ知識によるサプライズで好感度アップ。
女性に対して適当になあなあで優柔不断なのを、主人公は優しい扱いされていますし、
結局は男に都合のいい女キャラでしかないのですよね。
そのうえで、主人公・冬夜少年の“みんな平等に好きだよ”でデレデレしていますし、
主人公を巡っての女同士の仲違いが無く競争意識も薄く、本格的な修羅場にまでは発展しません。
作者は女性と会話したことがないのではないか?と自律機能のついたマネキンみたいなヒロインたちを見て思います。
このアニメに人間らしい感情を持った登場人物が一人とすらいなく、
冬夜少年に都合の良いNPCの範疇を超えた行動をするものが皆無。
冬夜少年の女性関係も本人の関与しないところで勝手に解決してハーレムになってるあたり、
都合の悪いことをこじれさせること無くスイスイと進む。これこそがストレスフリーの終着点でしょうか?
この世界は重婚OKというルールを設定してハーレムを正当化しているものの、
全12話で一夫多妻の家族が存在してないために、主人公の都合だけでルール作りされてるのが見え見えなのですよね。
王侯貴族に至るまで妻帯者は一人しか妻が存在しません。
結局は作者の気分次第で適当に設定されてる世界で主人公を甘やかしてるだけなのですよね。
『このすば!』のほうが、まだマトモに冒険していますし、
本当にコテコテのテンプレを通り過ぎた御都合主義の塊である当作品がアニメ化されたことに驚きを禁じえませんね。
御都合主義が凄まじく展開が安易すぎて、ギャグとしてわざとやっているのか?と疑ってしまうレベル。
作品の善し悪し以前に、よほどネタ切れなのか出版元のKADOKAWAとの繋がりで、
こんなモノまでアニメ化しないといけないのか?と、アニメ業界が心配になってきます。
これの原作者が文筆業で立派にやっていってる作家並の文学的下地があるわけでなく、
アニメやラノベやゲームで得た知識を再構成しただけの浅薄なストーリー回し。
ニーズがあるから、このようなものでもやっていけるのでしょうが、
本当にいろいろな面で不安になってきますね。
例えば、RPG的な世界で冒険をするラノベファンタジー分野の先達に当たる、
『フォーチュン・クエスト』の作者の深沢美潮女史は高校時代は通勤時の電車の中で、
毎日毎日ドストエフスキーを読みふけっていて、
文筆業で食べていってる人は、基礎が出来ているものです。
おなじ“なろう”界隈でも、『戦国小町苦労譚』の作者は専門知識を補うために資料をかき集めています。(面白いかは別)
それにひきかえ、『異世界はスマートフォンとともに。』は何もかもが適当。
異世界転生・転移ものでも、『異世界薬局』『転生したら剣でした』などこれより良いものがいくらでもあるのに、
選考基準が謎すぎます。これがアニメ化したことが業界には本当に良かったのか疑問です。
もし、自分でファンタジー小説とか書こうという人がいましたら、
漫画やラノベやゲーム以外の書籍や映画を漁ることオススメします。
この界隈の作品が劣化コピーが更なる劣化コピーを生み続けているような気がしてならないのですよね。
「小説家になろう」で続きを読んだのですが、貰い物のチートパワーで何一つ苦労すること無く、
敵に対し『阿呆か!』『はいはい、わかったから消えて』と三文悪役を見下しつつ瞬殺するのが基本パターンですよね。
豚のような容姿で知性の欠片もない悪王。
覇気にも知勇にも欠け主人公の引き立て役でしかない戦国大名もといイーシェンの領主たち。
主人公に瞬殺されるマヌケな悪役でしかない秀吉もどき。
中国嫌いの作者のサンドバッグにされたゴミのような国家・天帝国ユーロン。
周りは全部雑魚のワンパターン。たまに強いの出てきてもチートで圧勝。一瞬で解決するストーリーを繰り返しすぎ。
第7話でヒロインの一人から、見よう見まねでパクった無属性魔法を銃の製造に利用するという展開がありましたが、
例に漏れず全く苦労せずにあっさりと成功。技術を開発する課程をすっとばして楽して成果だけをゲットしたい!
という薄っぺらい作品理念の象徴ですね。
硝石作りから始め、ドワーフに火縄銃を渡してこつこつと量産している『ドリフターズ』の信長に謝れ!て感じ。
第9話目もヒドイですね。『マルチプル』『シャイニングジャベリン』『アポーツ』と叫ぶだけで全部解決ですもの。
主人公の魔法力が実質上無制限であるために、魔法使用制限もなく使い放題。
呪文の種類と効果を知ってるだけで練習なしに全部使いこなせる。
貰い物のチートパワーが破格すぎてつまらないですね。
あと、モブ顔の徳川家康ならぬ徳川家泰。声優が大ベテランの玄田哲章ってw
しかし、キャラデザが適当すぎ。それを差し引いても武将の扱いを見るに、
戦国時代へのリスペクトも無しに無意味に名前を借りてるのがミエミエ。
自分の弱点をべらべら喋って瞬殺される敵のボスとか本当にマヌケな敵しか存在しない主人公に優しい世界。
第10話は水着回なのですが、男女の会話になってない。
女キャラは鑑賞用のコレクションであり、棚に飾る人形ですね。
主人公が亀にスリップかけていじめてたけど、亀は浮くことが出来るのにそうせずにスリップし続けてたのも酷いし、
御都合主義というか、やっぱり凄く雑ですね。
第11~12話でいよいよ話が動き出すのですが、
神だけでなくて異世界が主人公に更なるチートを与えるという展開の序章。
フィールドを歩いていたら空からエクスカリバーと聖なる鎧が降ってきたというような、何とも言えない気持ち。
主人公が魔法を使えば数万の軍勢でも一瞬で皆殺しに出来るという圧倒的な位置づけ。
しかもその力が神からのプレゼント。
9人と重婚し更に愛人まで出来る。未来の9人嫁たちの初登場時の年齢が解ってるだけでも10歳、12歳、13歳×2と、
一定の層に集中している作者のロリコン疑惑。
古代文明が主人公に更なる力を与えて、それは地上文明に対するラピュタ王の如しの超科学力。
それに対し、主人公に逆らう国や悪役など地を這いずり回る虫でしかない。
作者が主人公に何もかも与えすぎて正気を疑いますね。
敵に苦戦して駆け引きや攻略法で活路を見出す荒木飛呂彦の漫画作品とは正反対ですね。
肉も魚も野菜も全部ミキサーで粉々に砕いてドロドロにしたようなこんなアニメが、今後増えないことを祈ります。
この先も感想が変わることはないでしょう。
女の子キャラのデザインが程々にカワイイですが、
藤林姉妹だったりサクラ大戦だったりと既視感のあるキャラだらけですしね!
これが面白い?かというと正直な所、ネタ枠にでもしないとやっていけませんね。
本当に何でこれがアニメ化したのやら?
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。