蒼い✨️ さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
ケモナー向けな気がしないでもない!
アニメーション制作:スタジオ地図
2012年7月21日に公開された117分間の劇場版アニメ。
『時をかける少女』のスタッフが製作した長編オリジナル作品。
原作・監督は細田守。
【あらすじ/概要】
私が好きになった人は、
“おおかみおとこ”でした。
親も亡く奨学金とバイトの掛け持ちで一橋大学に通う大学生の花は、
講義室でワイルド風味なイケメンと知り合いになる。
彼は大学生でなく引越し業者のバイトで、
なりすましで大学に潜り込んで勉強をしていたのだった。
2人はすぐに恋に落ち、彼は花に自分の正体を明かす。
彼はニホンオオカミと人間の両方の血を引く“おおかみおとこ”
しかし、2人の情熱の前では何の問題もなく抱き合っていく。
花は姉・雪と弟・雨の2人の“おおかみこども”を年子で自宅出産。
だが、“おおかみおとこ”は雨が生まれて間もない雨の日に急死。
残された花は、“おおかみおとこ”との愛の結晶である子どもたちを、
一人で育てていくことを決心。
人の多い都会では子どもたちの正体を知られること無く育てるのは難しく、
自治体や近所の目を誤魔化しきれないし、干渉され続けるのが精神的にきつい。
花は子どもたちを連れて田舎に引っ越していく。
これは、子育てを通して母親として成長し逞しく生きて行く、
母と子の感動の物語である。(らしい!)
【感想】
細田監督の著作である小説版を読まないと理解できないことも在るらしいですが未読です。
男女の愛、母親の子供に向ける無償の愛情。美しい話っぽい映画なのですが、
無計画に子供をポンポン作らず、花の卒業を待って入籍すれば問題なかったろうに。
学歴を捨てても経済的にも恵まれなくても愛さえあれば子供がいれば幸せという、若さゆえの暴走。
花は子育てのために最終的には大学を辞めてますし、
奨学金の返済の義務があるはずなのですがどうなってるのだろうと?
細田監督の作品作りって、やりたい状況ありきキャラありきで、
前作『サマーウォーズ』でも同じく、そこまでの過程が強引なのですよね。
本作では愛が何よりも尊く若さ故の過ちってことなんでしょうけどね。
テーマは「親子」そういや、富野由悠季がこの映画を絶賛していましたね。
富野といえば金太郎飴のように毎度毎度、親子とは別個の人格であり、
子供は成長することで親を捨てて乗り越えるという、
親子の決別エピソードを自分の作品に入れていますね。
ネタバレになってしまいますが、
その富野御大が好みそうな要素が、この作品のバックボーン。
母親を置いていくのは2人の子供のかたっぽで、もうひとりとは普通に親子していますけどね。
親が人生を捧げて子供に尽くしたのに、子供は親からさっさと巣立っていく。
ファミリー向けか?と言えば、子供には見せにくいシーンが2箇所存在する。
花の頑張りで親の共感を得るアニメか?といえば、
花の無計画な家族計画が事態の悪化を招き、
そのくせ、都会から逃げてきた先で、
癒し系日常アニメのように仏のように優しい村人たちに囲まれたスローライフ。
花は田舎では別人のようにしぶとく強く生き抜き、子供に都合のいい母親ぶり。
本物の田舎はこうじゃない!田舎を舐めるな!などなどと反感を持った層からの容赦ないツッコミが入ることもある。
あと、実際に子育てをした母親からは、親の感情として許せないことも多いそうです。
細田守監督の家族感が一般的か?といえば、そうではないせいかもしれなません。
個人的にもツッコミどころの多い作品でしたが、『サマーウォーズ』よりは楽しめたです。
シリアス寄りの雰囲気が良かったのかもしれません。
ただ、それは場面場面の演出力の力量の賜物ですね。
結局のところ、このアニメは親子の血の繋がりや情と、親離れ&子離れ。
どちらを優先的に判断するかで、好き嫌いが別れる代物。
私としては、しっくりこないというのが正直なところでした。
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。