岬ヶ丘 さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
べヴストザインの過程をもう少し...
原作未読。国民的人気作「鉄腕アトム」の前日譚。「鉄腕アトム」は国産アニメ第一号というのも有名な話で、色々な意味でビギニングな作品。
今日のロボットの進化と社会の受容、また未来のロボットとの共存も現実的な問題になっている今だからこそ、面白い企画がアニメ化したなというのが率直な印象。「べヴストザイン=自我」が本作の大きなテーマになっているようで、そのあたりをどう掘り下げてくれるかに期待していたのですが。
蓋を開けてみれば基本的にコメディタッチの物語が多く、いざピンチになるとA106が助けてくれるというありがちな展開。ロボットの自我も結局のところ人間にとって、あるいは視聴者にとって都合のいいストーリーラインに留まっていたようでなんとなくもやもや。鉄腕アトムの前日譚なので原作へのリスペクトは当然必要だが、折角アニメ化するのだからもう少し踏み込んだ内容にしてもよかったのではないかという印象。
中盤からはロボットとロボットの戦いがメインになっていくが、ロボット同士の戦いにここまで時間を割く必要があったのかはやや疑問。最終回あたりから急にシリアスな展開になり、A106が自我とは何かを模索する演出などもあったがやや唐突な印象。もう少し前半から種を蒔いておかないと、後半のシリアスな展開もあまり響かない。最終回の演出自体は素晴らしかったと思うが、もう少し早めに作品のメッセージ性を伝えてほしかった。
べヴストザインという概念が全体的に都合が良く、なんとなくいい話で結局アトムはすごいよね、ここから始まっていくんだよねという感じに無難に落ち着いた印象。天馬とお茶の水のロボット製作の価値観の違いによる反発や、お茶の水の妹のA106への思いなど、その後の作品を見据えたうえでの面白い設定はあったものの、期待していたほどのメッセージ性をあまり感じられなかったのが少々残念だった。