101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ゼロから教わる「おかえりなさい」と幸福論
原作ライトノベルは未読。
このアニメ、私は結構泣きました。
感動的なヤマ場に号泣したというより、
幸せについての考え方や価値観について、気が付かされた時、
自然と涙が溢れていた感じでした。
{netabare}世界を滅亡に向かわせる圧倒的な敵を前に、
妖精兵器として最後は自爆するしかない。
だから帰る場所だの、幸せだの考えまい。
と諦観してしまっている、ヒロイン等に対して、
幸福になることを考えても良いんだ。
と幸せの動機レベルから掘り起こしていくシナリオ。
まっさらな心に幸福の価値観を染みこませていく物語を紡ぐため、
この原作者は、幸せについて、そもそも人はなぜ幸福を追求するのか?
徹底的に洗い直した上で、ストーリーに落とし込んで来ていると感じました。
幸福論について妖精たちと一緒にゼロから学び直しているような、
随所で、頷くことも多い、泣きながらも、何だかとても勉強になるアニメでした。{/netabare}
やや難点があったとしたら作画でしょうか。
と言っても、作画自体は奮闘していたとは思います。
そもそも本作の設定、世界観には簡単にイメージが伝え辛い要素も多かったと思います。
例えば、兵装(ダグウェポン)の調律、前世の記憶による精神の侵食など。
それをアニメーションで説明できただけでも私は及第点だと思います。
ただ本作は作画に求められるレベルがさらに高かったのだと思います。
例えば、{netabare}獣の描写にもっと迫力があれば、
当初、幸福を諦観していた妖精たちの心境がより明確になっていたでしょう。
その他、本当は帰ってくるのか心配で仕方が無いのに普通に振る舞っているとか。
或いは自暴自棄になりそうなのに、無理して明るく振る舞っているとか。
この辺りの微妙な表情をもっと描写し切れていれば、
より心理が繊細に表現できたでしょう。{/netabare}
状況説明を越えた、豊かな心情表現ができる、
作画班の腕の見せ所がたくさんあった物語だったのでしょうが、
本作作画兵団の戦力では、そこまでの描写レベルには達しなかった模様。
但し、{netabare}萌えシーンや、“施術”(笑)を受けた時は、
彼女たちもなかなか豊かな表情で魅せてくれましたがw{/netabare}
私の場合は序盤で、この作画には状況説明以上の表現はあまり期待できないのかもしれない。
伝えられた状況の行間を読んでいくように、キャラの心情を汲み取っていこう。
という視聴スタイルに切り替えたので、心に響いたのかもしれません。
絵により細かい心情表現まで求める鑑賞スタイルで挑んだ方の中には、
このキャラは何でここまで感情が高ぶっているのかよく分らない。
と迷宮入りした人もいるのかもしれません。
そういう意味で、アニメーション作品として傑作と呼ぶには、
もう一つ、突き抜けるものが欲しかった感もありますが、
私にとっては、心が洗濯されるような、有意義なアニメ鑑賞でした♪
余談:{netabare} 毎回OPアニメで賢者?と思しき爺さんが出てくるカットで、
この長老は物語の鍵を握る、さぞ威厳の高いキーキャラクターに違いないと、
堂々たる登場を期待していた私。
で、出てきて、旧知の主人公に「僕は……」と語りかけて来た時は、ズッコケましたw
萌えキャラならボクっ娘だろうが、ワシっ娘だろうが、
ドンと来やがれ!といつも防御万全のつもりな私ですが、
爺さんのギャップ攻撃は想定してませんでしたw
その他、本作は、人間族が圧倒的少数派かつ忌み嫌われている、
殺伐とした『どうぶつの森』といった空気が立ち籠める街の概況とか。
爬虫類映画俳優の脱皮シーンが撮影された聖地巡礼とかw
色々な意味でハイレベルなシチュエーションが多かったように思いますw{/netabare}