RFC さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
吹奏楽部の1年間 リアリティは最後まで
原作未読。
1期が秀作だったので当然視聴。
綺麗な映像・音楽で視聴したかったため、
DVDが出るまで待ちました。
たくさんのレビューが飛び交う中、
レビューを読みたい衝動を抑えるのは大変でした。
【作品概要】
新任の滝先生の下、京都の弱小吹奏楽部の
成長が描かれています。
全国大会を目指し、1期ではなんと奇跡の京都府大会突破。
この2期ではそれ以降のお話が描かれています。
【作品に対する感想】
相変わらずハイクオリティな映像、音楽です。
1期のレビューで「これ以上の奇跡は嘘臭くなる」と書き、
ストーリーがご都合主義になるのを恐れていましたが、
なんとかリアリティをぎりぎり維持しつつ、物語としても
綺麗に終わったとおもいます。
両立不可能と思えた事をぎりぎりのラインで達成した
この作品はやはり秀逸だったと思います。
2期では最初から部員の意識が非常に高いためか、
至る所で熱い思い、言葉が飛び交います。
私はそのたびにこみ上げるものがありました。
そして最後に…「続きが観たい!」。
久美子達が2年生になって部の中堅になり、
自分のことだけでなく部の全体・後輩の事を考えながら、
先輩から受け取ったものを胸に戦っていく姿を見てみたい!
1)物語
1期2期を通じて吹奏楽部の年間行事を
ほぼリアルに描いていて、とても懐かしくなりました。
4 1年生入部
7末 市大会(今作では無かったですが)
8初 県大会(1期の京都府大会)
8中 夏合宿
8末 地方大会(今作の関西大会)
10末 全国大会
11初 3年引退
2末 3年卒業
全国大会でグランドフィナーレかと勝手に想像してましたが、
そのあとまできっちり描かれていて良かったと思います。
(部によっては上記の他に定期演奏会などがあったりします)
これに人間ドラマが上手く絡んでましたね。
{netabare}
【1期】
・久美子 失言で麗奈と微妙な空気
・葵 受験優先で退部
・葉月失恋 秀一失恋(?) 久美子&麗奈和解
・オーディション 勝者と敗者
・麗奈VS香織 ソロ戦争勃発
・優子 滝先生の不信を煽る
・久美子 一部のフレーズを外される
【2期】
・希美 復帰騒動
・滝先生の過去発覚
・久美子 姉との確執
・あすか 家庭の事情
・あすかと久美子
・麗奈 滝先生の過去を知る
{/netabare}
まあよくもここまで詰め込んだものです。
作中に出なかっただけで、裏側でも
たくさんのエピソードがあったんでしょうね。
そして心のありようがどれだけ演奏に影響が出るかが
至る所で描かれてました。
これも高校吹奏楽部のリアリティだと思います。
2)作画(2022/12/4追記)
コンクールの演奏時の配色、すごくリアルです。
明るさが少し過剰と感じるかもしれませんが、
演奏者からはあんな風に見えてます。
薄暗い舞台裏での待機(この暗さに目が慣れる)、
そして照明を落とした暗い舞台に上がり
照明が点灯した瞬間、あんな感じに見えるんですよ。
あれで「きたぁぁ!」ってテンション上がる人もいれば、
プレッシャーに感じる人もいるでしょう。
このこだわりは心にくるものがあります。
4)音楽
駅ビルコンサートの宝島(T-SQUARE)の
吹奏楽アレンジですが、定番中の定番ですね。
バリサクでソロは初めて聞きました。
ごっつい男前になりますね。
あと、特筆すべきは卒業式での三日月の舞。
3年生が抜けてスカンスカンになった三日月の舞。
どれだけ3年生が大きな存在だったかがよくわかります。
こんなところまでリアルに作りこんでくる。
素晴らしいの言葉につきます。
5)キャラ
①黄前久美子
本来面倒事に関わるのを避け無難を選択する傾向の彼女が、
それらに向き合おうと変わっていきつつあります。
(望まず巻き込まれてたり、流されてる場合もありますが)
ほどほどにずるい凡人代表のような彼女が
望む結果のためになりふり構わず行動するように
少しずつ変わっていきます。
成長記としても良かったと思います。
②香坂麗奈
孤高な実力者なのは相変わらずですが、
彼女もまだまだ高校生。
感情に振り回される麗奈は可愛くてしょうがなかったです。
久美子との出会いが、彼女にとっては大きく
プラスになったようですね。
死んだ魚の目…爆笑しました。
③田中あすか
1期から底抜けに明るいマニア先輩というキャラの陰に潜む
何かを感じさせていましたが、それが話に絡んできます。
1期の時に「誰がソロを吹くなんて心底どうでもいい」
との発言は{netabare}自由に吹けるだけマシ{/netabare}
ということだったんでしょうね。
彼女の振る舞いは大人としては正しいのかもしれませんが、
高校生の振る舞いとしてはかけ離れたものに
なっていたように思えました。
唯一個人として振舞っていたのが
自宅に久美子を呼んだ時ですね。
自分の事をべらべらしゃべる彼女はこの時くらいでしたね。
④吉川優子(でかリボン)
1期の時は私情優先の困ったちゃんな役でしたが、
2期ではちゃんと2年生やってました。
私情で暴走するのは中世古先輩が絡んだ時だけで、
それ以外の時はまともな人のようです。
⑤鎧塚みぞれ
この娘凄く不器用な娘です。
高い能力を持ちながらそれを持て余しているんですよね。
誰かのために…だとその誰かがいなくなったら
何も出来なくなってしまいます。
まだまだ自分のため…と思えるには時間がかかりそうですが、
成長していってほしいです。
⑥塚本秀一
最後まで久美子と微妙な距離感を詰め切れなかった。
でもそれがリアリティ。
どこもかしこもカップルだらけなんてありえない。
ほろ苦さもまた青春です。
6)好きな&印象的なシーン
{netabare}
①花火大会
もう無茶苦茶綺麗なんですよ。
花火も、浴衣姿の麗奈も。
そして塚本を挑発する黒い麗奈が印象的。
ストイックで殆ど他人に興味が無かった印象の彼女が
少しずつ変わってるんだと感じました。
②夏合宿
アホみたいに音楽に集中できる期間で、
爆発的に底力が伸びるきっかけでもあります。
それと同時に、本来家にいる時間帯に同級生と一緒にいる
という特別なイベントでもあります。
久美子もたくさんの人といろいろなことを語って
色んな人の想いに触れ自分の心の着地点を探していました。
私の場合女子のパジャマ姿に萌死してました…。。。
③鎧塚みぞれの告白
前半の山場ですね。
誰もが善意で行動しているのに結果が悪になる…
結構しんどい話でした。
私はみぞれの気持ちは凄く共感できました。
ほんの少しのコミュ不足と、愛情ゆえの恐怖。
でかリボンちゃん優子の体当たり大演説が
みぞれの心を溶かし、誤解が解け、
本来の彼女の演奏を取り戻しました。
教卓の陰から日の下にみぞれを引きずり出す演出が
印象的でした。
④関西大会
くそ熱い外から冷気に満ちた舞台裏に入り、
緊張感が一気に増すあの雰囲気が再現されてました。
演奏はノーカットで、各部員の演奏シーンが次々に
入るようになっていました。
これまでの想いや積み上げたものが一気に爆発している
感じが十分に描かれていて、これだけでウルウルでした。
そして私が驚いたのは関西大会の舞台。
「アルカイックホールやん!」
あの特徴的な反響板を忘れるわけがありません。
私事ですが、あのホールで2度ほど演奏したことがって
一気に懐かしさがこみ上げて、胸がギュっとなりました。
結果発表の時、席に座り切れない生徒が階段に
座ってるところ…リアリティの面で◎です。
結果発表は作中通り、各校の成績(金・銀・銅)が
それぞれ言い渡され、最後にまとめて
全国大会への出場校が発表されます。
金賞の前に「ゴールド」をつけるのは
金と銀が聞き分けづらいことへの対処です。
基本を金賞が言い渡されるたびに歓喜の絶叫が
ホールに響くのですが、全国出場が常連の学校は
金賞をとっても無言だったりすることがあります。
他校からすれば嫌味に見えたりして、
ホールは異様な雰囲気になります。
結果発表のシーンは現役時代を思い出して、
ウルウルでした。
自分にとっても嬉しさで涙が止まらず
何を叫んだのか覚えてないのは
後にも先にもこの瞬間だけですからね。
⑤久美子 あすかに大演説
どうしても部に戻ってきてほしい久美子は
単騎であすかに訴えに行きます。
あすかは大人の選択を通すため、久美子の弱点を突き
本気で傷付けるところまで踏み込んで論破しようとします。
どうしようもなくなった久美子がとった方法は
想いの全てを精一杯ぶつける事でした。
涙でぐちゃぐちゃになりながらノーガードで叫んだ
彼女の声はようやくあすかに届きます。
これは目から汗…でした。
あすかは自虐的に私利私欲と言ってましたが、
結局のところ全員私利私欲なんですよね。
私利私欲の先が「周りのためでもある」か
「ホントに自分だけのため」か。
その違いだけだと思うんですよね。
⑦滝先生 華麗なスルースキル
麗奈の踏み込みを見事にかわした先生すげえです。
そして流石に気付いた周りのフォローもGJです。
⑧あちこちでのTp.ソロのシーンの香織先輩の表情
割り切ってるつもりでも割り切れていない。
つい指が動いてしまう。
神作画です。
{/netabare}
7)「?」なシーン
{netabare}
①水着回のニーズにより捻じ曲げられたリアリティ
北宇治高校はどうやら進学校のようですので、
3年生にとって、夏休みは受験準備期間でしかありません。
貴重な部活休みを遊びに行くなんてありえません。
視聴者側としては目の保養なんですが、リアリティが
生命線の作品でこれをやっちゃいかんと思いました。
⇒と思ってたら、原作からこのシーンあったようです。
余計に「えぇぇぇ・・・」でした^^;
②滝先生の過去を口滑らせた橋本先生
「オトナ」ならこんな事生徒にしゃべるなよ!
失言にしろ、限度があると思いました。
エピソード自体はいいんですけどね。
元気になった滝先生を見て嬉しくなって、
ついポロっと…なんでしょうけど。
③いまさらですが京都なのに関西弁じゃない
まあ、関西弁でみんながしゃべってる時点で
視聴者が層別されそうですし、
しょうがないですよね。
{/netabare}
8)立華高校マーチングバンドへようこそ を読んで
(2020/4/10追記)
作中時々登場する久美子の中学の時の戦友
Tb.の佐々木梓が主人公の物語です。
水色の悪魔の裏側が描かれます。
北宇治と比べるとかなり体育会系ですね。
私はマーチングは全くわからないので、新鮮でした。
マーチングをいろいろ知ることができてよかったと思います。
ユーフォシリーズが好きであればおすすめです。
活字でも涙腺やばくなります。
ただし誓いのフィナーレ程度にはドロドロですので、
お覚悟のうえで(笑。
さわやかな表紙絵に騙されてはいけません。
{netabare}
主人公の梓は結構イメージ変わりました。
好き嫌いは結構分かれそうですね。
最終的には私は好きでした。
{/netabare}
これも1~2クールくらいで映像化されないかなー。
座奏のコンクールと違って動き回るんで、
本番のシーンで作画班死にそうですが。
そういえば立華高校吹奏楽部のモデルとなったと
言われている橘高校吹奏楽部のオレンジの悪魔。
橘→たちばな→立ち華→立華
ああ、そういうことですか!
9)北宇治高校吹奏楽部日誌 を読んで(2021/2/8追記)
時間的には久美子が1年生の頃の12月~春くらいの話です。
アニメ化はされなかったですけど北宇治高校も
定期演奏会あったんですね。
「北宇治高校の定期演奏会」「北宇治・立華の合同演奏会」
の2本立てです。
ユーフォ作品群が好きであれば読んでおいていい内容
だったと思います。
これこそ劇場版くらいのサイズかなと思いました。
これ単品で読むよりは、下記事前準備をお勧めします。
・「ユーフォ1,2」の視聴
・「立華高校マーチングバンドへようこそ」の読破