oneandonly さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
力を持つ人間の栄枯盛衰を儚く、暖かく描いた作品
世界観:7
ストーリー:7
リアリティ:8
キャラクター:6
情感:6
合計:34
(以下、1期とまとめての完全版レビュー)
西暦2014年、地球と火星の戦争から15年後。火星の皇女アセイラム姫は和平を望み、地球で親善パレードを行う。姫の無事を願う地球から来た少年スレイン。一方、地球では、高校生の伊奈帆たちは戦闘用ロボット・カタフラクトの操縦訓練を受けていた。
(公式サイトより)
虚淵玄氏のシナリオということで以前から興味はありましたが、苦手意識のあるロボット物、2クール作品(分割に気付かず)ということで、視聴開始に時間がかかってしまいました。
序盤は登場人物の多さと人間関係の把握に手間取り、いまいち物語に入り込めなかったのですが、1期のラストから2期の初めにかけて急に面白くなってきました。
ロボット物ではやはりガンダムと比較してしまうのですが、富野氏の作風は人間の愛憎が強調されすぎている点で自分としてはちょっと抵抗があり、本作のように表面上においてドライに描かれている点は好みです(もちろん、どろどろとしたものはあるのですが、描き方として)。
一方、伊奈帆にありがちな主人公らしい万能さを感じさせる点はあまり好きではなく、それが序盤に楽しめなかった理由のひとつだと思うのですが、アルドノア(古代文明先進技術)を持つ火星と戦うにはこれくらいの特別な英雄がいなければ物語が成立しないということで納得。
地球の伊奈帆をスーパーマンに描きつつ、火星・ヴァース帝国のスレインをより人間らしさを感じられる人物に描いているのが良かったです。二人がお互いを意識し始めるあたりは、PSYCHO-PASSの狡噛と槙島を思い出しました。
アルドノアを起動できるのがある血筋を持つ人間、というのはファンタジーによくあるご都合設定であり、序盤に楽しめなかった理由のひとつですが、本作では古代文明の指紋認証のようなものの超先進的な技術という形で提示されています。血液を採らずにDNAを解析する技術ができればそれも可能になる可能性はあると納得できました。アセイラム姫とキスをした相手に(一時的に?)アルドノアを起動できる能力が備わるなど、不明な所もありますが、これは論理を重視する虚淵氏らしく、とても楽しめた部分です。
1クール最後でスレインがザーツバルム卿を助けた疑問点も、許したわけではなかったということで腑に落ちました。
2クールはスレインの栄華と没落の熱いドラマが、人間模様とともに描かれました。おっと思うシーン↓も多々ありました。
レムリナ姫がアセイラム姫の回復を知った後にアセイラム姫のほうが仕掛けていたシーン、アセイラム姫があっさり2人の主人公ではない相手を選んだシーン、スレインが全ての終わりを悟り、レムリナ姫に非礼を詫びて去るシーン、エデルリッゾがアセイラム姫にスレインのことを語ったシーン、助けられたのはアセイラム姫の意志であるということを聞いたシーンなど。
1stOPはKalafinaの「heavenly blue」。個人的にこれまでのアニソンNo.1は同じくKalafinaの歌う「to the beginning」(Fate/Zero 2ndOP)(約2年間でのスマホでの再生回数420回)ですが、パワフルで格好良さのあるAメロと、壮大な宇宙を舞台とした美しい歌詞によって、今後、その座を脅かす可能性もあるかもしれません。
この曲を聴くためだけでも視聴をおすすめしたい作品ですが、本番は2クールから。序盤で切らないことをおすすめします。
※虚淵氏は1期3話までで離脱しているそうですね。
(参考評価推移:3話3.4→6話3.3→7話3.4→9話3.5→12話3.7→15話3.8→19話3.9→21話4.0→23~24話4.2→調整4.1)
(2017.6~7視聴)