oxPGx85958 さんの感想・評価
2.1
物語 : 1.5
作画 : 3.0
声優 : 1.5
音楽 : 3.0
キャラ : 1.5
状態:観終わった
私にとっては異世界
この作品に描かれている世界とそれを見つめる視線は、私にとっては異世界でした。この異物感をどう言葉にすればいいのか、アニメとその周辺文化に詳しくない私にはまだよくわかっていませんが、「ハーレムもの」と「ライトノベル」という2つのキーワードにプラスアルファがあって、そのプラスアルファのところに私にはどうしても受け入れられない要素があるようです。
いろいろと手を加えれば私にも受け入れられるようなアニメになりそうな気がするのですが、それをやるとこの作品の本質が損なわれるという気もする。つまり、これは「私の世界の中での失敗作」ではなく、「私の外の世界での成功作」に見えるわけです。
別の言い方をすると、このアニメは私には「オタクっぽくてキモい」のですが、本作の支持者からすると、そのキモさこそがいいのだろう、と。そして私から見ると、松岡禎丞はそのキモさの象徴の1つです。この人が声優として真面目で熱心な人であることは間違いないけれども、このタイプの役を演じるとものすごく気持ち悪くなる。
きわめて巧妙だな、と思うのは、本作の「メイン・ヒロイン」とされている加藤恵のあり方です。彼女はもともと主人公を中心とするオタク的世界の外部の人間なので、やはり外部にいる視聴者にとっては感情移入がしやすいキャラクターではあるわけだけど、それゆえの必然なのかどうなのか、演技・演出が抑え気味になっていて、魅力的に感じられます。要するに「かわいい」わけです。これって作者の思う壺なわけですが、これを目的としてこういうシリーズを丸ごと作るというのはアリなのだろうかとも思ってしまう。
別の言い方をすると、加藤恵がかわいいということを確認するために、このシリーズを見通すということは果たして良いことなのか。ものすごく非効率的なことをやっているという気もしてくるのです。
とはいえ、本作が加藤恵のそのようなメカニズムと、それに加えて、他のキャラクターたちを魅力的に感じさせるメカニズム群を考慮に入れて書かれている巧妙な作品だということは伝わってきます。完成度は高い。ただ、私には気持ち悪い。