退会済のユーザー さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
映画は問題定義のみ、原作は模範解答付き
伝えたくても伝わらない。
いかに伝わらないかを、最後にその人物ごとに視点を変えて描いた原作と。
伝わらない部分はヒントだけ残して、リアルに感じ取らせようとした映画。
両方アリじゃないでしょうか。
映画だけ観ていても、原作でしか描かれなかった、個々のキャラが背負った葛藤の存在は感じ取れました。
完ぺきにとは言わないけど、ドロドロと渦巻く何かが、そのキャラを動かしているだろう事。
(まず制作上の制約ありきかもしれませんが)映画製作者の意図で、それを敢えて描かなかった事。
それらは確実に伝わって来ました。
いや、感じ取れなきゃ、ダメなんです。
この作品の、一番重要な部分は、そこじゃないでしょうか?
原作を先に知っていたら、私自身も、原作を称えるスタンスで感想を述べていたかもしれませんが… 運よく、映画を先に観ました。
作品に感動し、各々のキャラの描かれなかったプライベートな部分を、勝手に想像していました。
セリフの意味、行動の意味… 自分の中で、色々な角度から類推し、妄想し…
原作を読んで、答え合わせが出来ました。
そう、あれはある意味で、推理小説で言うところの読者への挑戦。
あの時点までで、ヒントはすべて出そろっていたのですね。
合っていた部分、作者とは違う膨らませ方をしていた部分。
私は両方を楽しめました。
そこを考えると…
映画の方が、現実に近いのかもしれません。
現実の世の中は、原作のように、正解は示してくれませんから。