「Wake Up,Girls!(TVアニメ動画)」

総合得点
61.5
感想・評価
647
棚に入れた
3001
ランキング
5381
★★★★☆ 3.2 (647)
物語
3.3
作画
2.8
声優
3.1
音楽
3.6
キャラ
3.3

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ネタバレ

MLK さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6
物語 : 2.0 作画 : 2.0 声優 : 2.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:----

無題

コンテンツビジネス大流行の今、二次元と三次元のミックスがしやすいアイドルアニメが大いに流行っている。男性向けの代表例としては、アイマスやラブライブの二大巨頭が有名だろうか。アイドルアニメは数あれど、本作は最もリアルなアイドル像に迫ったものなのだろう。

例えば、一話のライブシーンでのパンチラや二話の水着接待。各所から非難轟々のこのシーン、私も正直不愉快に感じたシーンであるのだが、監督の山本寛氏のアイドルへの造詣の深さを鑑みると、おそらくこれは実際にありえることなのだろう。この作品の特筆すべき点は、この正直さにある。

そもそも、ほとんどのアイドルアニメは歪んだ作りをしている。「アイドルアニメ」という括りはあれど、アイドルマスターはお仕事もの、ラブライブは部活もの(シンデレラガールズは作り手のエゴの肥大化した何か)、といった具合に既存の語り方を用い、キャラクターやアイドルとしての美しい面を強調している。これは、ロボットアニメが主人公サイドにばかり感情移入していたり、ラブコメで次々ヒロインを見移りする主人公を嫌う人間がいなかったり、というような「視聴者に気持ち良く見てもらうための都合のいい嘘」であり、エンターテイメント作品として成立させるために必須の嘘である。

しかし本作は、その妥協点が少ない。逆に、生々しい設定や試練を用いることによってアイドルの真の姿に迫ろうとしていると言える。が、残念ながら私はそれが面白いとは思えなかった。現実路線を悪いと言っているのではない。おそらく、これがドキュメンタリー番組ならば面白く見ることができただろう。問題は、描写の生々しさと比例しないシナリオの単調さだ。

本作は、アイドル物の御多分に漏れず「お当番回」といわれる、各キャラに焦点を当てた話数が全キャラに存在するが、その多くが、アイドル辞める?辞めない?という全く同じ悩みに関する話であり、しかも、それが全部「アイドルをやめない理由」を見つけるものであり、「アイドルとしてやりたいこと」を見つける話ではないのだ。

それぞれが進退に関わる大きな問題を抱えることによってアイドルとして成長させようという意図は分かる。しかし、全キャラが全く別の問題でアイドルを辞めたくなるようなアイドルグループが存在するだろうか。そして、延々と誰が辞める誰が辞めないという全く同じ問題を繰り返しているアニメが楽しいだろうか。答えは、否である。

山本監督は京都大学文学部哲学科を卒業したインテリであり、アニメをアイドル論にまで高めようとしていることは分かる。もしかすると、キャラクターの苗字を七人の侍からとったのは、ファンという農民のために立ち上がりながらも最後は決して幸せになれないアイドルと侍を重ねたのかもしれない。しかし、七人の侍は活劇であり、理念に疲れた黒澤が娯楽作として撮ったことも忘れてはいけない。近年少ない作家型の監督であるからこそ、娯楽性を得ればよいものができる可能性はある。ぜひとも、娯楽の中に理念を挟み込む手法を確立してもらいたいものである。

投稿 : 2017/07/06
閲覧 : 214
サンキュー:

4

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