黒猫 さんの感想・評価

4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態：観終わった

面白かった！美しさも残酷さも描いていて色んな感情を味わえる作品でした！

リゼロを見た理由の説明は今さら不要ですね。有名だからです笑。
物語は引きこもりの主人公が突如異世界に転生しそこでのストーリーを描く、いわば典型的な異世界もの。
この作品の最大の特徴は主人公の持つ異能、いわゆる特殊能力みたいなものなのですが、それは死んだらある時点に戻ってまたそこから異世界ライフをスタートさせるという「死に戻り」の能力。
ゲームオーバーになったからセーブポイントに戻ってやり直すのと同じ感覚。
いわゆるタイムリープというやつですが、他のタイムリープ作品に比べると、ただ戻るというだけなので時系列やら平行世界やらややこしい設定は無く分かりやすいです。難解で取っつきにくい感じで若干苦手意識のある私でもこれは大丈夫でした。
ただこの死に戻りはゲームとは違い、ちゃんと死の痛みや辛さを味わった上でのやり直しということになるので、主人公の精神的な辛さは計り知れないものになっていきます。なのでけっこう重たかったり残酷だったりする場面も出てきます。

私がこの作品の魅力的だと思うところは、主人公が平凡であること（クズだと言う人も多いみたいですが、それについては後ほど）。
そして喜怒哀楽の様々な感情をこの作品１つで感じることが出来ることです。
まずこの作品、基本的に主人公やヒロインはバンバン死にます。というか殺されます。
殺されるからこそ、生き返った主人公はどうすればその残酷な運命を切り抜けられるか考え、行動するんですが、何度も何度も殺されるという事は、私達視聴者もその殺しを何度も見させられるわけです。
特にお気に入りのヒロインがズタボロに殺されたりするシーンもあり、けっこうきついです笑。
ここで悲しみや殺した奴への怒り、誰が殺したのか分からない時は恐怖を感じれます。
誰が犯人なのか探るミステリーに近い感覚です。

次に異世界ものには外せない恋愛。これについては皆さんのおっしゃる通りレムの存在がめちゃめちゃ重要です。悲惨な過去を抱え心を閉ざしたいた少女が、主人公によって存在を認められ、歩む道を照らしてもらいます。そして主人公を生きる理由にするほどレムは慕うわけですが、メインヒロインではないのでお約束通り報われない恋なんですよねー。
その切なさや健気さに視聴者の多くは胸を痛め叫んだことでしょう。
「なんでヒロインレムじゃないねん」と。笑
まあそんなレムやヒロインであるエミリアと主人公の関係性も甘酸っぱくて面白いです。

そして主人公についてですが、良くも悪くも平凡な人間という設定なため（死に戻り以外）、あまりの辛さに精神崩壊したり周りに八つ当たりしたり暴言吐いたり、弱い自分を認めず人のせいにしたりと、特に中盤あたりはなんだこいつうざ！展開が多くあります。
自己中で身勝手な主人公の態度に腹を立て、胸糞悪いと思った方は多いと思います。
私も全くそう思わなかったわけではないです。
ただ私は、周りの大切な人達を無惨に殺され、自分自身も殺された挙句もう一度その前からやり直せなんて、死ぬ以上にとてつもなく苦しいんじゃないかなーと思います。
また死に戻りのことは口に出来ない事になっているので、誰も理解してくれないし、愚痴も吐けない。もの凄い孤独感だと思います。
皆を救うためにやってるのに、その根拠や証拠を説明出来ず、皆従ってくれない。助けてくれない。
「いいから俺の言う通りにしろって言ってんだろー！！俺に従ってれば良いんだよ！そうすれば全部上手く行くんだ！！」
そりゃそう言いたくなるよなーと思います。もちろん他人からしたら何言ってんだこいつ頭おかしいのか的な発言でしょうけど、主人公の気持ちを考えるともどかしくてたまらなくて、孤独で…
私はこの主人公をクズと言えるほどの絶望を味わったことが無いので、クズとは言えないです。
まあ子供だなーと思うところは多々有りましたし、エミリアと喧嘩して自暴自棄になってた時もダサいとは思いましたが、それも人間ぽくてリアルだったし、主人公がダメだからこそレムみたいな子の良さが引き立つわけだし。
そんな人間味やリアルなんていらないと言う方は、魔法科高校の劣等性でも見てください笑。

とまあこの作品は悲惨さ残酷さ、恐怖、恋愛の切なさ、主人公の人間味と成長、死に挑む勇気。
色んな要素が詰まった作品なので、見始めると続きが気になって止まらないと思います。
が、一気見すると心がけっこうやられると思うのでお気をつけて笑。
個人的にはかなり良かったと思える作品です。
また見たいかは別ですが笑。