蒼い✨️ さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
宇宙は広いのやら狭いのやらってね?
アニメーション制作:アートランド
2008年10月 - 2009年3月に放映された全26話のTVアニメ。
原作は、田中芳樹によるスペースオペラ小説。監督は石黒昇。
【概要/あらすじ】
未来の人類は、宇宙に進出して星々を有人惑星化し星間国家を形成。
現代から見ると30世紀の時代では、ヴァルダナ帝国という超大国が最大勢力であり覇権国家となっていた。
ヴァルダナ帝国は皇帝を頂点とする帝政を敷いて貴族が補佐してが政を行っているのであるが、
200年ほど前に状況が一変した。
当時の帝国は最強国・星間都市連盟の風下に甘んじていた。
その連盟から、莫大な資産を持ち有能なる要人の一族全員が帝国に亡命し貴族の地位を得た。
その一族の指揮のもとで翌年の会戦で帝国は連盟に大勝利をし、
帝国が銀河一の人類国家にのし上がる契機となった。
その功績を足がかりに帝国の実権を掌握していった一族の姓は、タイタニアという。
“力による支配”
タイタニアの一族は代々、政治や軍事に実力を発揮し、
皇帝ですら、タイタニアのいいなりの傀儡。タイタニアこそ実質的な宇宙の支配者であった。
タイタニアの行動理念に一族の繁栄があり、タイタニアこそが正しい。
強い我らタイタニアが支配するからこそ帝国は安定している。
などという最強の一族である自負が故に高圧的で傲慢だと人の目にうつることも多い。
実際にタイタニアに逆らうものは排除され、政敵は生命を奪われる有様。
タイタニアと衝突して潰された国が数々存在し、そうでなくても力づくの間接支配。
資源の採掘権や技術の利権を奪われるなどで、誰もがタイタニアに頭を押さえつけられていた。
だから、『誰かタイタニアを倒してくれ』と陰で願っている人間が多かった。
そして、星暦446年(西暦2975年)に事件が起こった。
宇宙都市国家エウリヤは、ある技術の権益を巡るタイタニアからの要求を拒否したがために、
タイタニアを相手に勝ち目のない戦いを強いられることになった。
実は裏では話がついていて、反タイタニアのはね返りが挑んでみたものの手も足も出ませんでした。
というシナリオのある形だけの戦争のはずだったのであるが…。
だが、臨時に司令官に任じられた軍人らしくない、28歳の青年のファン・ヒューリック提督が率いる、
弱小艦隊が「ケルベロス星域の会戦」で奇策を用いて、
タイタニア五家族当主の一人で有能で堅実なことで知られるアリアバート公爵が率いる大艦隊に勝利してしまった。
常勝不敗のタイタニアに黒星をつけたヒューリックの活躍は全宇宙に知れ渡ることになり、
アンチタイタニアの英雄になると同時に、タイタニア一族から執拗に狙われることになった。
『タイタニアの配下になれば罪は問わぬ』『逆らったり逃亡を重ねるなら生命で償え』
との上から目線で。
ヒューリックは単に仕事で戦争をしたに過ぎずタイタニアと関わりのないところで、
民間人として適当に生きたかったのだが、物語の渦中に飲み込まれていく。
そのなかで、宇宙船「正直じいさん号」の一党の仲間となる。
タイタニア一族も一枚岩ではなく、当主である無地藩王アジュマーンの下、
好む好まざるに関わらず、次期藩王の座を巡って四公爵がしのぎを削っている。
これは、これまでにタイタニア一強だった宇宙に変革をもたらされようとした時代の物語。
そこで蠢いた人間たちが絡み合う群像劇である。
【感想】
原作は1988年に徳間書店から第1巻が刊行。全5巻であり、放映当時は第3巻でストップしたまま17年が経過中。
このアニメは2巻目までを、ドラマチックに改変されたアニオリ要素をふんだんに交えながら、
話の大筋を変えずに2クールで構成。
大昔にトクマ・ノベルズで購入したのですが、読んで話に興味持てずに古本屋に売ってしまった記憶が。
タイタニアは銀河英雄伝説と同じ原作者と同じ監督ではあるのですが、作画がアニメチックに。
銀河英雄伝説がアニメらしくないデザインなのはプロデューサーを務めた田原正利の意向なのね。
美樹本晴彦原案のキャラデザ、華麗な戦艦、華やかな小物デザイン。
2000年代に銀河英雄伝説がアニメ化されてたら、こうなっていただろうと想像できます。
優等生的な作りになるのだろうなとストーリー面に期待して観始めたのですが、凄く気になったことが!
『~けどね!』『~てね!』『~かな?』
主人公のファン・ヒューリックの口調が、『うたわれるもの 偽りの仮面』のヒロインのクオン(CV/種田梨沙)
と全く同じではあるまいか?小西克幸の声で同じことをやられると気になってしょうがないですね。
まあ、誰のせいでもないのですけどね!
そんな与太話とは無関係に正直な所、ジュスランやヒューリックなどの主役級のキャラが、
銀河英雄伝説のヤン・ウェンリーやラインハルト・フォン・ローエングラムらと比較して弱いかな?と。
だから、登場人物が生きようと死のうと事件が起きようと感情移入することもハラハラすることもなく、
あっそ?て感じ。身体の大きな元公女殿下や、その夫のジイさんなど、
「正直じいさん号」のメンバーも暫くすれば名前を忘れてしまいそうで、
銀河英雄伝説のヤンファミリーをよくよく覚えているのに、この違いはなんだろうと?
このアニメで良かったことと言えば10歳のリディア王女殿下やオリキャラの女の子カレンが、
銀河英雄伝説の女性陣と比較して幾分可愛らしく描けていることかも?
(王女殿下は『こち亀』の檸檬と同類のキャラであるとも言えますが)
タイタニアは戦争シーンはあるものの、戦略や戦術そのものには面白みが薄く、
野望や陰謀、それに立ち向かう機知、人間劇が見どころかもしれません。
ただ、敵味方含めて登場人物に好きになる要素が薄かったので個人的には、
割とどうでもいいアニメだったことには違いありません。
反権力ゲリラ vs 絶対権力 がストーリーの根底にあるがために、
宇宙を舞台にしてるにしては、スケールが小さく感じられるといいますか、
どうしても銀河英雄伝説と比較してしまうといいますか、
原作自体が作者自身による量産劣化型銀河英雄伝説だから、仕方ないと言えば仕方ないですね。
このアニメを観て喜ぶ人たちは野党気質が旺盛であり、
権力に対するぼんやりとした不満をアニメで解消したいのかな?と思ったりして。
どことなくアメリカ合衆国をタイタニアになぞらえて観てみると、
そういう人たちにはフィットするかもしれないと思いました。
あくまでも、個人が持つイメージですけどね!
これにて、感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。