pio さんの感想・評価
4.9
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
大人も何年に一度か見返したくなるような、間口の広い名作
近年では珍しい、リアル路線の恋愛ものを描いた本作。
派手なアニメが多い中、比較的地味な本作ですが、誰もが過去に一度は経験している
ような「あるある」が多数散りばめられており、強烈なノスタルジーを感じさせます。
それもただ懐かしいだけでなく、忘れてしまった大切な感情を思い起こさせてくれます。
毎話、適度な盛り上がりを見せるため、飽きずに最後まで完走できました。
<良い点>
・舞台選定
川越に実際に訪れたことはありませんが、本作のリアルな雰囲気を
つくる上で一役買っていると感じました。
都会の近郊にある都市は所謂「都心から近い田舎」のため、
地縁深い家庭、転勤族の家庭の両方が混在します。
主人公は前者、ヒロインは後者それぞれの家庭の中学生であり、
その家庭環境の違いが良い対比となっています。家庭内の描写も
リアルに細かくなされているため、どちらの家庭で育った方も
共感できる内容になっています。
・作画
背景はとてもきれいです。作品への没入感を高める上で十分すぎるほどです。
人物の作画は一見シンプルですが、中学生の未熟さ、純粋さを表現するには
これもアリかな、と。
・音楽
op,edの川嶋あいをはじめとし、ELTやJITTERIN'JINNなど、20代や30代を
ターゲットにしている印象を受けました。該当世代の方は特に反応してしまうでしょう。
・声優
この作品ではアフレコではなくプレスコで収録されていたようです。
その甲斐あってか、奥手な主人公2人の経験不足からくるもどかしさが
よく表現されており、とてもリアルです。
・キャラ
登場人物の性格は基本的に良く、視聴していて非常に気持ちよかったです。
特に大人たち(主人公の両親やご近所の方々)の主人公2人への愛情が視聴者へも
伝わるため、 {netabare}主人公2人が純愛を育み、ゴールインまで到達する事への説得力が
あります{/netabare}。
また現実では同級生の恋愛がバレることで、イジメやハブ、絶縁といった
ネガティブな現象が生じることがありますが、本作品ではそうした要素は一切
ありません。
ネタバレになるため詳述は避けますが、いくつかの同級生は2人の恋愛に
水を刺します。しかし、それはストーリー上のスパイスであり、決して
ドロドロとした展開にはならず、安心して視聴できます。
<悪い点>
・作画
基本的には高水準でまとまっているものの、いくつか崩壊しているシーンもありました。
しかしその他の演出水準が高いため、ほとんど気にならないと思います。
<まとめ>
自分自身の何かしらの過去と重ね合わせて共感し、時には涙を誘われ、
大人になって忘れていた感情と向き合う機会を与えてくれた本作。
深夜アニメに対する予備知識などは一切要らず、全12話の中できれいにまとまっており、
万人におすすめできる作品です。