「月がきれい(TVアニメ動画)」

総合得点
94.0
感想・評価
1811
棚に入れた
7636
ランキング
8
★★★★☆ 4.0 (1811)
物語
4.1
作画
4.0
声優
4.0
音楽
4.0
キャラ
4.0

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ネタバレ

はあつ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

夢想と郷愁の初めての恋愛

次々と新しい作風にチャレンジされる、岸誠二監督。
今作は、今までの恋愛アニメにありがちなキャラやストーリーの過剰な脚色を排して、現実的なシチュエーションに徹する事で、視聴者が非常にシンクロしやすい。
それでいて、理想的な恋愛描写を要所要所に見せることで夢想や憧憬を抱ける。
惚れぼれする見事な手腕です。

巧妙なキャラクターデザイン

縁取りが少なく薄く淡いルックスは、自我が不安定で未完成の中学生らしさを見せるのにピッタリ。
また、キャラ画を強調しない事で視聴者が視覚的にも自分や身近な人に重ねやすい。
内容的には実写ドラマで描けても、演じる俳優のビジュアルが強くなると、こうも重ねて観れないでしょう。
まさにアニメならでは巧い演出だと思えます。
事実私は、昔の自分と今の自分の子供達にかぶせて観てました。(今の自分には劇中の親がもろかぶり^^;)

時に甘く時にほろ苦い、数々の繊細でリアルな人物描写

特定の異性が気になり、互いに意識し、好きになる中で感じる初めての気持ちを、文学から引用したモノローグと、キャラクターの仕草や行動で絶妙に表現しています。
時代が移りアイテムは違えども、今も昔も誰もがしがちな素振りや態度を見るだけで、ときめきや苛立ちが伝わり共感できました。

狂おしいほど美しい、純粋な二人が甘やかに醸し出す恋の情景

CGやスキャンを多用した作画は、少しチープさを感じるものの、ここぞというシーンでは、二人を包む背景美術は情緒に溢れ美しく、流れる挿入歌もベストチョイスでシーンを盛り上げます。
声優さんの初々しく聴こえる演技も、たどたどしく言葉足らずな会話にはまり、リアリティー溢れる演出となって、深い情感を得ることができました。

学生時代当時の自分なら理想と夢想の恋愛形であり、今の自分からは、甘酸っぱい気持ちを思い出させてくれる懐かしい恋愛劇。
貴方にとっては過去?未来?それとも現在進行形♪どのように映るのでしょうか~

以下はグダグダのネタバレ全開感想です
{netabare}
甘い甘いイリュージョン♪久しぶりに大満足の恋愛物!

初手からリアルな描写に釘付けでした~

緊張して芋をモフモフする茜。女の子らしい仕草で、学生時代の私のどストライク!
そんな女子を、気づかれないようチラ見する小太郎に早くも既視感。
気になる子からのボディタッチやメッセージはときめく~♪
自分の学生時代は携帯電話もなく、直筆コメントのサイン帳か年賀状くらいでしたが、テンション上がったもんです。
室内灯のヒモにパンチ。当然私もやりました(^^)今時はリモコンや壁面の照明スイッチが増えて、オッサンあるあるになりつつあるのかな?
唯一の苦言・・プレゼントのマフラー、せっかくの手編み感が無さすぎる~ほんの少し書き込んで毛糸の質感を出してくれたら、より羨ましく見えたのに~あと、長過ぎるより短すぎる方がリアルでは・・

初恋としてはねたましいほどの理想的な展開で安定してニヤニヤしつつも、終盤は程よい波風を立たせてくれて切なさも充分ありました~

10話。小太郎の晴れ舞台を友達に誇ることもなく、ただただ見惚れる茜。
比良の告白に動揺しつつもキッパリ断り、直後の駆けつける姿に「大好きな彼に会いたい」逸る気持ちが伝わります。
そんな、落ち度のない茜に対する小太郎のつれない態度を見て、もっと大人になってやれよと先ず思っちゃいます。
でも小太郎のやるせない姿を見る内に、あの態度も頷けてくる。
束縛の強い性格じゃなくても初めての好きな人なら、あの光景に穏やかにはいられないでしょう。
しかし直ぐに気持ちを切り替えます。
追いかけてきた茜に向き合い応える一途な思い。
告白といい、交際宣言といい、ここぞで見せる男前さが、なかなかできない理想の恋愛を叶えるポイントですね。
そしてだ!
その直後の茜の行動たるや・・・萌えるを通り越して悶え死にするところでした!
自然に見えなくもないが、やっぱりアザとすぎる~監督、ご馳走さまです♪

最終話。今度は千夏の告白を絡ませ揺さぶります。
報告しなかった小太郎を責めて泣き出す茜。
初感、めんどくさいやつだ~と減なりしかけましたが
「迷惑かけてばっかり・・」と泣き崩れる姿を見るうち、遠恋確定時の姉の言葉もあり、彼に負担かけるなら別れたほうがいいのかもと思い詰めた末の「別れのキス」だったのかも・・えらいこっちゃ!と観てるこっちが動揺しました。
しかし、ここでも小太郎が高スキルを発動させます。
あの恋文に落ちない女子はいないよね。(文章力が羨ましい~下手な感想書きながら痛感^^;)
ラストまでリアルなすれ違いの構図を使い、悲恋にありがちな描写の中で揺るがぬ愛を確信させている。これまた粋な演出です!
エンディングに「それから」も見せてくれて後顧の憂いも無くすサービスぶり♪監督、重ねてご馳走さまでした~
(私、毎話エンディングのラインも何気に見てて全然気づかず。1話から見直すと深イイ~♪)

さらにグダグダの親的目線の感想・・・
私、中高生の子を持つ身なんで、親の描写もリアルに感じました。

1話のAパート、両家の挨拶を済ませ、後は式の日取りを決めるだけ(笑)
茜の両親にはちょっと引きますが、転勤族で早く地域に馴染むために身につけた処世術なんでしょう。
小太郎の父親「結構可愛い子やん~♪」は、まんまリアル状況での私の反応・・小太郎の母親同様、カミさんに間違いなくたしなめられる(^^;

11話、進学の意向を聞いた時の反応。
当初、母親が感情的になりますが、あの場で父親的には夫婦喧嘩しても仕方ないので「まあまあ・・」とだけで、個別に真意を確かめながら寄り添う流れは自然体。
正直私なら茜の姉のように忠告したり、通学に費やす時間を有意義に使って欲しいと翻意を促すかも(敵視しないでね -_-;)
でも、子供の真剣な努力を見て、穏やかに支えてやる母親の姿にはウルっときました。
我が家でも遅くまで受験生と共に起きて夜食を作るのはカミさんですm(__)m

恋愛について
小太郎の父親なら、でかした!よくぞあんなイイ娘をゲットした!と単純に誉めたくなるが、茜の父親なら、中学生の娘のあんな惚れ込む様を見たら平常心ではいられない。ってか、小太郎に殺意を抱きます(`へ´*)ノ
ふ~~(落ち着け)
冷静に考えて・・私なら、中学生で交際なんてまだ早い、仮に付き合っても手を繋いで一緒に歩くぐらいで充分と思うのだが、今時の中学生は普通に恋愛して、キスくらいは常識なの?
年頃の自分の子供達に訊いても、父親にそんな話題を正直に話す訳もないので調べてみた。

ベネッセの保護者アンケート-中学生の子に交際相手はいるか?(2016年)
いるor以前いた19%(高校生37%)
いない65%(同42%)
わからない16%(同21%)

日本性教育協会(そんなのあるのね!)中学生の恋愛経験について(2011年)
デート経験あり、男子24.8%女子22%
キス経験あり、男子14.3%女子12.5%
それ以上経験、男子3.8%女子4.8%

て事は、40人クラス中で、10人近くは付き合った事があり、4,5人はキスしたことがある!(まさかの節子と永原みたいのも1対はいる*_*)
30年以上前の私の中学時代、金八先生の様な話もありましたが、公然と付き合ってる生徒はほぼ皆無。現代の方が明らかにオープンで性急過ぎる(汗)
今はスマホなどのコミュニケーションツールがあるのも早熟さを後押ししてるんですかね。
いづれにせよ、交際するなら相手を傷つけないのは勿論だが、自分で責任を取れるかを考えて付き合って欲しいと願う親心です。

中学生の息子には携帯も持たせてませんが、今作の様な恋愛に繋がるならスマホを持たせてやるべきなのか・・・いや~リンクスメイトするだけの気がする~(^^;{/netabare}

投稿 : 2017/07/02
閲覧 : 433
サンキュー:

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