岬ヶ丘 さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
アニメーション表現の難しさ
原作未読。最近のアニメは色々なジャンルから題材をとっていてアニメ化している中、次は「歌舞伎」かと物珍しさで視聴。
肝心の歌舞伎については作中で歌舞伎用語を説明したり、プロの歌舞伎役者の芝居の場面があったりと、一応歌舞伎成分はある。ただ肝心の登場人物の歌舞伎の芝居に関しては細切れだったので、その点は残念だった。最終回ではじめてがっつり長い尺で歌舞伎を見れたので、とりあえず最終回まで見てよかったなとは感じた。
物語に関しては5人の主要キャラが一緒に歌舞伎を演じるのに最終回まで引っ張るとは思っておらず、もう少し早めに全員くっつけて海老原のその後を描くというのがまあ無難ではなかったのかなと。また阿久津家の過去が思っていた以上に複雑で重い内容だったと感じたのだが、それに対する周囲の反応が割と普通というかあっさりしていたのはやや拍子抜けだったかな。
物語の展開自体は直前に何らかのトラブルが起きると主人公自らが言っているように、大体先の展開が読めてしまうのが残念。歌舞伎と現代劇の組み合わせで、視聴者に分かりやすく歌舞伎を楽しんでもらおうというオチも読める。
声優さんの歌舞伎のお芝居は、自分も歌舞伎は全く知らないので偉そうな事を言える立場ではないが、その道のプロの方と比べると苦しい芝居だったか。もちろん役者は一生懸命演じていたと思うし、別途練習や監修など大変だったとは思う。この作品で一番悩んで大変だったのは声優さんでしょう。
全体を通して伝統芸能といった新しい題材をエンターテイメントにすることの難しさを感じた一作だった。例えば今回でいう歌舞伎の演劇シーンの場合、小説や漫画といった紙媒体ならまだいいが、アニメーションなどの映像媒体ではそこに動きや音声を加えないといけない。その動きや声優の芝居などが物語とうまく合わないとアニメ作品としては成立しない。
作品の評価自体は厳しめだが、クリエーターのチャレンジ精神は素晴らしいと感じたのでこの作品での経験や蓄積をまた次に生かしてもらいたい。