タケ坊 さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
アニメの魅力を存分に味わえるTRIGGER節全開の万人向け王道作品
アニメミライ、映画版から満を持して公開されたTVアニメ版。
圧巻の1話を観てすぐに、TRIGGERの本気度半端ないな...
こりゃ間違いなくTRIGGER史上に残る傑作になるというのは容易に想像出来ました。
振り返ってみても1話は映画版クオリティと言っても過言ではないと思いますが、
2クールに渡って終始素晴らしい作画と全く飽きさせないエピソードの数々で、
ED時には何度も感慨に浸って涙出ましたよ...年ですな。。
☆物語&感想☆
物語はアニメミライ、映画版よりも前のアッコのルーナノヴァへの入学と共に始まり、
1クール目はアッコ、スーシィ、ロッテ、3人の問題児を中心とした1話完結の、
笑いあり涙ありなドタバタ劇が繰り広げられ、
2クール目になってその他キャラ&物語が本格的に動き出すという感じの構成となっていましたが、
個人的には1クール目のような内容でずっとやってくれても良い、
そう思えるくらいに充実した観ごたえで毎話オチもしっかりしており、
毎週本当にワクワクとさせてくれる楽しさに溢れるもので、本当に最高でした。
2クール目も基本的には1話完結で進みますが、
終盤の言の葉を巡ってのエピソードでは、やや駆け足感があったのと、
クライマックスに至る部分が少々強引かなという印象がありましたが、
力技でも綺麗にまとめてくるあたりはやっぱりTRIGGERという感じ笑
終盤に明かされるアッコが頑張ってもなかなか飛べない理由が、
1話から伏線として張ってあったとは...ストレートな物語の中で、これには驚きましたね。
本作の最大の特徴としては、やはりアニメミライの時から変わらないアニメらしさ。
古典作品からの影響が伺えますが、今の時代に於いては逆に新鮮で、
とてもノスタルジックな懐かしさを感じます。
大人になって知らず知らずのうちに忘れてしまっている、
心の奥底に眠っていた感情を思い起こさせるような、そんな感覚を受けました。
そしてまた、同時にアッコがシャリオに抱いた幼い頃から持ち続けている夢は、
観ている側がアッコを通して擬似的に自己投影して見ている、そんな感覚もあったのではないか、とも思いました。
ある程度の子供からでも楽しめ、
また大人も童心に返って夢中になれるオリジナル作品...一体いつ以来かな、こんな作品。
奇を衒わず、王道中の王道でひたすら熱い、例えるならど真ん中の豪速球、
そんな作品を今の時代に作れるTRIGGERという制作会社、本当に素敵です。
☆声優☆
若手~ベテラン、意外な大御所まで個性豊かなキャラに合わせたキャスティングは見事で、
登場人物がそこそこ多くても一切似たような声のキャラは居ないように、
とても良く考えられていたと感じます。
この面でも実にアニメらしさを感じることが出来ました。
やはり特筆すべきは主役を演じた潘めぐみさん、圧巻の演技力でしたね。
喜怒哀楽の激しいアッコのような役柄を演じるのは相当難しいと思いますが、
声の出し方、トーンが脱力したところから覇気のある台詞まで、
様々に使い分け本当に巧いなぁと関心して観ていました。
☆キャラ☆
アニメミライ版から映画版では尺も短く、キャラの掘り下げも最低限でしたが、
TVアニメ版では1クール目でアッコ、スーシィ、ロッテを中心にとても丁寧に描かれ、
2クール目でその他の生徒メインの回も設けられたことから、
充分にキャラを堪能することが出来ました。
唯一ヤスミンカだけは少々見せ場少なかったですが...尺的に厳しかったんでしょうね。
それにしても、キャラ自体の個性溢れる魅力は絶品で、
2クールの作品内では到底収まりきらないんじゃないかと感じるほど。。
これほどキャラクターに純粋に惹かれる作品というのも近年観た作品では珍しかったかもしれません。
アッコは勿論言うまでもなく至らない所だらけの問題児ではあるものの、
ひたすら自分の夢に向かって突き進む行動力と諦めないメンタリティは、
昨今のアニメキャラでは愚直過ぎて恥ずかしく思えるほどですが、
70~80年代のアニメに触れてきた自分にとっては、実に微笑ましい愛すべき主人公でした。
たぶん自分よりもっと若い世代だとアッコに対して感じる感覚っていうのは少し違うかもしれませんね。
また、対照的な優等生のダイアナが居ることで、非常にバランスも良く、
物語が進むにつれてアッコとの距離が近づいていく過程も本当に上手く描かれていたと思います。
☆作画☆
兎にも角にも吉成監督のずば抜けた才能...これがTVアニメ初監督とはちょっと信じられないですね。
非常にアクションもダイナミックでしたが、3DCGに頼らず手描きに拘った作画は、
これが日本のアニメだ、と世界に誇れるもの。
2クールありましたが、安易に総集編など入れなかったのも高く評価したい。
また派手な動きだけではなくキャラクターの描き方が実に丁寧で細かく、みな生き生きとしている。
アッコの万華鏡のごとく千変万化に変化する表情を見ているだけでも全く飽きないですが、
時にはデフォルメ効かせつつメリハリを付け、
あそこまで細かく描き分けるのは並大抵の監督じゃできないと思いますね。
そして、何と言ってもキャラデザイン&作画面でも古き良き古典アニメからの影響を感じさせるのが、
やはり観た者に懐かしさを与える一因にもなっている気がします。
☆音楽☆
OP,EDは1,2クール共通のアーティストを用いることで違和感も無し。
楽曲もOPは軽快な曲調と明るい声質、EDは穏やかな曲調と癒し系の声質と、
非常に対照的ながら素晴らしい組み合わせでした。
また、作中BGMはアニメミライから続くオーケストレーション主体のもので作品の世界観とも相性バッチリ。
「キズナイーバー」ではやや地味に感じたBGMも、メインテーマとなるBGMを数曲用いて、
盛り上がる場面で持ってくることでインパクトも充分、非常に良い演出効果だったと思います。
アニメミライ、映画版、と続く物語も一旦は綺麗に完結しましたが、
まだまだ続編やサイドストーリーなど作れると思うし、
今回のTVシリーズ以降も是非シリーズ化して続けて欲しいと思います。
正直まだまだもの足りない笑 いや、なかなかこんな風に思える作品には出会えませんね。
惜しむらくは放送枠が深夜じゃなく、もっと多くの一般層が観れる時間帯に放送できればよかったのに。。