M.out さんの感想・評価
4.1
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
生きるための阿呆
1期はたいへん楽しんだのだが、2期はそこまで乗れないところがあった。何に乗れなかったのかというと、わたしの頭ではムツカシイ問題なので保留である。
それでも濃厚な、毛深いタヌキドラマが展開されることは言わねばなるまい。2期において起こる天狗騒動は「しがらみ」の問題である。蛙の子は蛙であるし、狸の子は狸なのだ。だから、人の子は人に違いないし、天狗の子もまた天狗である。(ネタバレに続く)
{netabare}
弁天は天狗になりたかったし、二代目は天狗になりたくなかった。だから、二人の衝突は必然だったのだ。そこで、ほっこり毛深く温かいはずのこの物語は、悲観的な視点を持ち出し「生まれ持ったものは変えられない」というリアリスティックな結論を提示する。弁天が二代目を倒すためには天狗になる必要があるのであり、なれないからこそ尽く負けるのだ。
そんな悲しいヒューマン&テングドラマに仕上がっているが、タヌキ的な方面はいつも通りほっこりしている本作である。これは、天狗と人間とは対照的な狸の在り方にあるだろう。
父の血を誇り、讃え、その在り様を高らかに謳う。そんな、清々しい生き方である。
言い名付けである矢三郎と海星だが、そんな他人決められたことを悲観したりしない。何故なら阿呆であるからだ。万事楽しむココロガマエができている。
だから阿呆こそ至高、阿呆こそ全てと、有頂天家族という作品はすべて“阿呆”の一言に集約されるのであり、よって製作陣も阿呆である。
「また阿呆なものを作りましたね」と賞賛されるべき作品である。{/netabare}
{netabare}
わたしの口に合わなかった点があるとするなら「画面がふざけていない」という点なのかもしれない。原作は阿呆らしい文体で世界が構成されるから、こんなぶっ飛んだ話をやれたのだ。しかし、アニメということで現実的着地を余儀なくされたため、ただのドラマになってしまった。「原作がどうこう」という話ではなく、阿呆な話には阿呆らしい画作りが必要である。その点を完璧にこなした、湯浅政明の映像化は素晴らしいなあなんて思うのでした。
{/netabare}
個人的な採点として、点数が各要素の平均点で出されているから高い評価だが、作品としては3.5くらいである。
あと、海星すごくカワイイ。