ちゃろう さんの感想・評価
3.3
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
少年時代に見たかった作品です
というのも大人になって少々ひねくれてしまった私にはこの作品の設定等を素直に受け止めることが出来なくなってしまったからです。それほど突込みどころが多い作品だと思います。
吸血鬼、鬼を封印してる武器等、作品の雰囲気を高めるためにとってつけたような設定がありますがそれはもうしょうがないですね。公式では吸血鬼は紫外線に弱く外に出るときは「紫外線中和装置」というご都合的な装置をつけているらしいがそれが戦闘で壊れないこともまぁしょうがない。昼に行動できないと話も制限されてしまいますから。その辺のよくある「作品の世界観の雰囲気や土台を作るためのご都合的な設定」は許容範囲なのですが…
どうしても引っかかってしまうのが軍の描写や設定が学芸会なのかと思うほど緩くてお遊びに感じてしまうのがどうしても馴れなかったです。
私自身がゴリゴリの縦社会の場所にしばらくいたから余計に下の人間のふざけた態度にはイライラしました。
もちろん漫画だしある程度の事はしょうがないと思えるのですが、主人公が上司や先輩に対して「おまえ」と呼び、なれなれしい、反抗する。はっきり言ってありえないですね。一度遅刻したときは大勢いるからか空気を読んでそれっぽい口調になっていましたが、そのあと呼び出されたときはまた偉そうな態度に変わる。はっきり言って不快極まりないですね。仮にも軍である以上その辺の統率はきちんととるようにしてくれないと本当にただの「軍隊ごっこ」をしているようにしか見えないです。百歩譲ってグレンと二人きりの時はそれでもいいのですが…
主人公にイラつくのではなくてそれをとがめない「軍隊ごっこ」にイラっとしました。普通なら武器を取り上げ追放してます。
その辺の個人的な感情を除いたとしても話の見せ方はいまいちのように感じました。
まずはグレンが弱すぎる。あれだけ強キャラ感を出しながら戦いではいきなりやられてしまうのはさすがに失笑ものです。そしてそこで底が見えてしまったのでそこから先に何かリーダーっぽいことを言ってもちょっと口だけ男の様に感じてしまいました。もっと強い部分を見せるべきだと思いました。さすがにリーダー的ポジションが初戦闘でやられちゃうのはちょっと…
あと、展開がちょっと都合がよすぎる。鬼呪装備の中の最高ランクの黒鬼を3人試験して3人受かるとかちょっと都合がよすぎて萎える。この手の「リスクはあるけど乗り越えたら強くなれる系」の展開は正直絶対にそのリスクにやられちゃうことがないのはもう話の展開上わかるのでちょっと冷めた目で見てしまう。それと同じで薬のドーピングもそう。限界超えても絶対に死なないことはわかっているから(一応死んだっぽいけど)リスクある設定とは真逆で緊張感がないどころか茶番に見えていまいち感情移入できない。
それと吸血鬼になるリスク的なものが全然描写されていない。某吸血鬼と戦う漫画の様に吸血鬼になれば服従だとかおしっこもらすとかそういうデメリットの描写がされていないので、ミカエラが吸血鬼になったところで何も思わない。血を吸わないといけないというのはあるものの、別に血を吸われた人間が吸血鬼になるわけじゃないしただ噛まれて痛いくらいしかデメリットがないので普通に血が飲みたくなったら誰かの血をあげればいいんじゃないの?くらいの軽い気持ちで見てしまう。それだけで「人間の7倍以上の身体能力」「切断された手足の接合などの再生能力」を持てるようになるのならデメリットよりもメリットがあるような気がしてならない。
さらにジャンプ特有の「雰囲気で誤魔化す」部分が多々あって何度か引っかかる部分がありました。ジャンプスクエアは少年漫画なのでその辺の誤魔化しは得意ですね。名古屋決戦の前にグレンが士気を高めるためにちょっとした演説を行うのですが別に大したことは言ってない。でも「うおおおおお!!」と盛り上がる。本当に大したことは言ってないのに「うおおおおお!!」と言えば雰囲気で誤魔化せるんですね。それはまだマシでミカエラが主人公を連れ出そうと単身乗り込んだ時に「つれて逃げろ」からのこれ見よがしな「仲間大事」はさすがにダメだと思う。誤魔化せてないから。いかにもジャンプ作品の仲間を信じるって描写なんだろうけど、特に理由もなくあっさり吸血鬼を信じて逃がすだけじゃなく他の「仲間」を攻撃しだすのはちょっと…全然正しい行動ではないのに正義はレギュラー陣にあるみたいな雰囲気を醸し出すのは違和感を感じてしまいます。
とまぁまだまだ他にも引っかかるところがあるのですが書けばきりがないのでこの辺でやめておきます。
以上の引っ掛かりや違和感は私が年を取ったからこそ感じてしまう違和感であり、私が10代や20代の時にこの作品と出会っていればおそらくその辺に過敏に反応することなく純粋に楽しめたと思います。それだけに自分が変にひねくれてしまったなと思うと共に作品に引っ掛かりを感じて純粋に楽しめなくなった自分を損な性格だなと感じています。