四畳半愛好家 さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
静けさの中の『戦い』。
見ごたえある『戦い』を描くのに、派手なバトルや熱さは必ずしも必要ない…そんな気にさせてくれた、オノ・ナツメ原作のアニメ。
物語は終始ゆったりとしており、合わない人には退屈に感じてしまうかもしれない…それでも観続けているうちに「次週の展開が気になっている自分」に気づかされるのではないだろうか?
自分はそれなりにアニメを沢山観てきたと思うが、この独特で掴みどころのない「煙のような空気感」はひどく新鮮なものだった。
話は逸れるが…原作者のオノ・ナツメの他の漫画作品も絵柄と空気感が独特で、はまってしまうとひどく惹かれてしまうような作品が多い。
一冊完結の作品や短編集も多く、気軽に購入しやすい点も魅力的。このアニメにはまった人には強くお勧めする。
(表紙も内容もオシャレで、本棚に置いておくだけで少しセンスが良くなった気になれる作品達でもある(勘違いでしかないのだが笑))
特に初期短編集の「Tessoro」(テゾーロ)なんて印象的でセンスのいい話が多いと思うのでお勧めである。(初期作品なんで絵柄の癖が強いけどそこも…良い)
話を本作に戻す。
本作は特別激しいシーンや盛り上がるシーンは無いが、それでもしっかりと人を惹きつける魅力をもった作品である。物語が進むにつれて煙のようにゆっくりと不穏な空気が立ち込めていく感覚も良い…。
一言でいえば「地味」な作品かも知れないが、「痛快」な作品でもあり、しっかりまとまった「綺麗」な作品でもある。
OPもオシャレで作画もしっかりオノ・ナツメ作品らしさを残している。
声優については、下野さん・津田さん・悠木さんのメイン3人をはじめ、脇を彩る演技派ベテランたちの顔ぶれも「豪華」の一言。下野さんはふざけたアニメのイメージが強い声優ではあるが、格好いいアニメに出るとやっぱりイケボなんだと気づかされる…。
地味な展開に音を上げる人がいるのも仕方ない作品ではあるが、個人的にはかなり楽しませてもらえた作品であった。