101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
夢を追う すごい 愚か者
※本作の前半2クール分だけでなく、後半2クール分『~新たなる翼』も含めた感想。
世の中アニメ等でも“輝きたい”お話は数多い。
でも実際すごく輝いていたなと感じるお話はそんなにはないように思います。
大体、凡庸な輝きで終わってしまう物語は、
輝いている部分を表現することだけに囚われているパターンが多い気がします。
光の対極に闇があり、成功の裏に泥水をすするような苦労話がある……。
そこを描ききってこそ、輝きは光を増すと思うのですが、
それには生み出したキャラクターを逆境や試練で苛め抜く覚悟が必須になると私は思うのです。
アメリカの人気ショー「カレイドステージ」を舞台にした、
“ど真ん中 青春サクセスストーリー”である本作は、
光の裏にある影までしっかり表現していくことで、
強い輝きを放っている物語だと思います。
夢だの、天使だの、幻の大技だの、華々しいワードが連呼されながら、
その実は、特訓、試練、挫折、涙の連続……。
特に大技の完成に挑むシーンは、
本当に観ていて痛くて苦しそうで心身共に複雑骨折しそうになります。
さらに夢を追う者……。
「挑戦者、冒険者、開拓者……こういった名で呼ばれる者たちは全て愚か者」
とステージの精を通じて断言する思想がすごいです。
本作の特訓は、古のスポ根アニメの如く、人知を越えた無謀な試みばかりで、
常識に囚われたままだと、そんな馬鹿なwと一笑に付して終わるところ。
そこを夢を追った愚か者と言い切ることで、
常識のリミッターを解除し、視聴者を夢の熱病に感染させて来ます。
作画は側転だの、バク転だの、捻り技だの、四肢を目一杯動かして、
人体の挙動に秘められた可能性を開拓するアニメーションに、
エンターテイメント性があり好感できます。
ただ……普通の移動時にまで空中で捻ったり、
ランニング時に唐突に三人で側転したりはやや弾けすぎかも(笑)
本作はこの辺でもリミッターが外れていてハイになるっぽいですw
メインストーリーが特訓で根を詰めて緊迫する合間。
ただ張り詰めるばかりでなく、本作はマラソンコースの給水所の如く、
スッと小ネタやサブキャラエピソード等で和ませて来る全体構成も巧妙。
この手を妙手にするにはサブがキャラ立ちすることが必須ですが、
本作ではサブキャラクターも良好でバテません。
で、サブストーリーで息抜きと油断していると
結構ホロリとやられるから油断できません。
個人的には意外と{netabare}アンナの親父、没落したコメディアンの件が好きです。
本作では様々な親子愛の形が披露されますが、
笑わせると見せかけて泣かせに来るとは……不意打ちに感動しました。
この親父さんも、後日プチブレイクで復活したようで何よりです。{/netabare}
4クール必死で耐えて苦しんで本当に輝くのはほんの一瞬ですが、
主人公たちの苦闘、葛藤を網羅した上で、
スターの輝きを目撃する特等席の感動を味わう価値は十二分にある。
青春アニメの傑作だと思います♪