ちゃろう さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:----
既視感が強い。もったいない。
アニメや漫画に限ったことではないのですが、一つの完成を作るために他の色々な完成品から一部ずつ切り取って再構築するというやり方があります。
ヴォイドという設定は面白いものの、この作品もその例にもれず、かかわった製作者の他の作品から切り取って再構築した感じが多々ありました。それが既視感の理由だと思います。
製作者が豪華で期待値が大きいにもかかわらず、他の作品の再構築という作品作りをしたために、何か新しいものをやってくれるんじゃないかと期待していた分結果的には少し期待外れという印象になってしまいました。
もちろん製作者がそういうつもりでは作っていないとは思うのですが…ですが私には他作品の良いとこ取りのような印象を受けてしまいました。正直もっと新しい何かを見せてほしかったという気持ちはあります。
キャラクターもこの手の作品にはよくあるキャラで特に個性は感じませんでした。
望まなくても戦いに巻き込まれる主人公、歌を歌うヒロイン、男前リーダー途中で敵に、親が実は関係者、ほぼ全員が若い、とどこかで見た設定のオンパレードです。
世界観の設定についてはコメントは控えておきます。現実世界を舞台にした非現実的な設定は整合性をとることが本当に難しく、物語の土台を作るための強引な流れや細かい設定にも見て見ぬふりをするのが礼儀だと思っています。あまりにも酷いとコメントをしたくなりますが「そういうものだから」と思える許容範囲です。物語上の自然の設定ではなく、製作者側の都合からくるヴォイド等の強引な設定も多少は気になるものの許容範囲です。
ただこの手の作品全般に言えることだと思うのですが、スケールが大きくなればなるほど世界観と見せ方のギャップに違和感を感じてしまいます。どっちかと言えばメカや化学の世界観なのに描写がファンタジーの魔法のようなエフェクトや描写はいつも違和感を感じてしまいます。そもそもヴォイドの設定や描写がテクノロジーや科学で説明するのは無理がありすぎるし、そういう世界観よりもファンタジーの魔法の世界観の方がしっくりくるような気がします(それでもヴォイドの設定は中二病臭さがあって大好物です)
物語の流れも特に目新しいものがなくこの手の作品の王道の流れだと思います。
ただこの手の作品には物語の緩急をつけるために、山あり谷ありは普通の事だと思いますが谷の部分があまり面白くなかったです。
特に主人公が嫌になる、やけになる、自暴自棄になるというのも鉄板の流れだとは思うのですが、この作品の主人公の場合はその理由がちょっと弱すぎる。だから観てるこちらとしてはそのくらいでそんなになるなよーと冷めた目でみてしまうというかちょっとうっとうしかったです。
と、マイナスの事ばかり書きましたが、これはあくまで期待していたからこその辛口コメントであり、そういう視点から見ず、純粋に一作品として観れば十分面白い作品であり良作だと思います。
作画も素晴らしいです。ある一定のクオリティを保ちつつ見せるところは見せる。このクオリティを毎週続けられることはすごいですね。制作側のいいものを作ろうという気合いを感じました。特にEDの背景になっている絵は個人的にすごく好きです。雰囲気出てます。
総合的に見ても十分面白い作品に仕上がっていますし最後まで楽しめました。特にヴォイドの設定は中二好きの私には心が躍るものがありました。それだけに物語の流れ等、既視感があるものではなくもう少し何か新しいものを見たかったですね。