「電脳コイル(TVアニメ動画)」

総合得点
83.9
感想・評価
1968
棚に入れた
11176
ランキング
309
★★★★☆ 3.9 (1968)
物語
4.2
作画
3.9
声優
3.7
音楽
3.8
キャラ
3.8

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芝生まじりの丘 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

人間的SFの名作

このアニメってどういう層を対象にしているんでしょうね。萌え萌えだったり燃え燃えなジャンクフード系でもなく、複雑な設定や世界観の考察アニメとかでもなく、ちゃんとスタンスはあるが決して難解にしない作品作りは自分にはヒットでした。偶然ラーゼフォンで磯光雄さんを知ったからこそ芋くさいサムネ絵のこの作品に触れることができました。ただ、意外とラーゼフォンであの世界観の中やったあの一話のほうが自分には際立って魅力的だったかな。意外と普通な作品作りではある。割とキレイに作品として納めてるけど、特に終盤にかけてもう一歩新しい境地が開けたかなとも思う。
ネットの問題とともに、それと同等かそれ以上にネットを扱う人間たちのことがテーマになっており、ヴァーチャルの仮想的な街並みなども、そのハイテクさに反してしなびて親しみやすい昭和の下町風になっている。登場人物の子供達も等身大の人間として、幼く不完全で生き生きと描かれている。このように機械的、SF的、時にファンタジックでさえある設定や物語と、親密で人間味のがある物語、絵面がうまく同居しているところがこの作品の大きな魅力だと思う。
ネット、人間味、懐かしさ、の他にも、子供らしさ、ホラー、などなど、物語が非常に多様な要素を含んでいて、数々の奇妙な怪物たちに代表されるように設定、物語の展開が十分に独自のものを持っていたこともとてもよかったと思う。

最初鬱物みたいに聞いていたので、暗いジメジメしたものや「深い格言」を背負った話なのかとも思っていたが、味わったのは、若い青春の爽やかなほろ苦さといったもので、どちらかといえば物語は明るく、幼い楽観さによって進行しており、見ていてつらいということはなかった。
最終話に向かって「深い」メッセージが語られていく、という作品ではないが、アニメーション作品の1番の魅力は絵画や映画、音楽作品や文学作品が(少なくとも自分にとって)そうであるように、その芸術性であって、メッセージ性はあくまでそれに追随するオプションではないかと自分は思う。

多様な要素を含むだけに、構成が十全だとはいえないところもあるが、独創性あり、エンターテイメント性あり、親しみある雰囲気作り、丹念に作り込まれているが、難解ではない、これはかなりの傑作、力作といえるのではないでしょうか。

ただ、個人として、自分のフェイバリットな作品とするには、もう少し尖ったところ(アク)が足りない、と感じないでもない(十分素晴らしいからこそこんな高望みをいうのだが)。しかし、この作品の魅力は尖っていないところにあるし、個人的な好みというのもあるでしょう。

ともあれ、ぜひ一度見てほしい作品であるのは確かです。おすすめします。

投稿 : 2017/09/24
閲覧 : 304
サンキュー:

8

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