あんにゅい さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
神とか運命とか世界とか呼ばれるものに抗う姿は尊い
神への復讐。その最前線
ABの世界の構造が何度でも生き返ることができて、最後には消え去ってしまうのはなぜか。物語の終盤種明かしはされるのですが、つまるところ理不尽な悲劇によって死んだキャラクターたちに普通の幸福を感じて成仏してほしいというシンプルな理由によってそのようにできているのでした。
この世界にやってきたキャラクターたちは周囲の環境に流されるままなんとなく過ごしていけば平均的に当然とされている日常の幸せを実感することができ、成仏することができるわけです。
しかし、さまざまな悲劇によってこの世界に送られてきたキャラクターたちはそれを許しません。なぜなら流されるままに享受する受動的な幸せでは彼女たちの味わった悲劇を解消することなどできないと直感するからでしょう。
そのようなリグレットを抱え彼女たちは闘争を行っています。だから彼女たちは与えられる幸せではなく、自らの手でつかむ幸せを模索していきます。
そして、その能動的な幸福を求める行為はしばしば感動的なのですが、理不尽な世界はそれを潰しにかかります。これは生前の世界がキャラクターたちに悲劇をもたらしたことと同じ理不尽さです。
神あるいは運命というものは理不尽かつ残酷で、人はそれに抗うことができないように思われます。もしかすると抗っても仕方のないことかもしれません。にもかかわらず、それでもなお抗い続けるところに人の、キャラクターの尊さが宿るのでしょうね。
というわけで、大変おもしろかったです。