狗が身 さんの感想・評価
3.4
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
いつもとは違う路線。
コナンの劇場版シリーズといえば、ミステリ要素と同じぐらい盛り込まれているのがサスペンス&アクションだ。
だけど今回は少し路線が異なっており、パニック映画っぽいと言えるかもしれない。
怪盗キッドとの対決はほぼ序盤で終了、殺人事件は手口も犯人の動機もTVスペシャルでありそうな物足りなさ。
本番はここから。飛行機のパイロットが殺人事件によって起きた二次災害で操縦困難の状態に陥ったことで、墜落してしまうかもしれないというスリリングな展開を迎えるんだ。
これは今までにない展開。乗客員の命運を握るのが探偵と怪盗という異色の組み合わせ。こんなことは『名探偵コナン』にしかできないよね。どうせならこの無茶な展開、大いに楽しもう。
監督はハワイを無法地帯か何かだと勘違いしているのか、また一つコナンの武勇伝が追加されることになった。いくら自由の国とは言ってもだね…。
しかし、コナンは例によって親父に仕込まれたとはいえ、怪盗キッドはどうして操縦できたのか…殺人事件よりも遙かに謎である。ミステリアスな男って格好良いよね!
しまいには蘭姉ちゃんまでレバーの種類とか把握してるし、園子が一番の常識人なんだよな~…。
気になった点といえば、今回の犯人がどれだけの罪を負うことになるのか。
飛行機が墜落する原因も犯人にある、ということになれば、その罪の重さはとんでもないことになるよね。
人生をやり直す機会を永久に失われる可能性もあるわけで、その辺への補足が欲しかったかな…。
そしてもう一点。怪盗キッドが心意を告げないままに飛行機を飛び降りたこと。
結果的にパトカーを誘導する為だったとはいえ、大勢の人間の命がかかっている中で考えを話さないまま飛び降りたことが僕にはしっくりこない。
コナンへの信頼があったとしても、告げないでいいことにはならないはずだし。怪盗キッドを《気障だけど粋な人間》として魅せたかったとしても、それはこの場面ではなかったような気がする。
不満に思うところはあるものの、毎回こういう路線だと困るけどたまには悪くないかもね。
一応、操縦が安定しない飛行機は迫力のある映像だったから、ミステリに代わる魅力はあったと思うし。