「氷菓(TVアニメ動画)」

総合得点
90.4
感想・評価
8358
棚に入れた
35385
ランキング
53
★★★★★ 4.1 (8358)
物語
4.1
作画
4.4
声優
4.1
音楽
3.9
キャラ
4.1

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ネタバレ

jaddy さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

過程としての高校生を描いた、私的大傑作。

大人が自分の高校時代を思い返して(少しの共通部分をとっかかりに過去を美化しながら)切なくなったり、若者が大人の思い返した高校時代(の美化された部分)を見て憧れを覚えたりする。
それが、映画や小説、漫画を含めたよくある「高校モノ」のエンタメ性の正体だと、個人的には思っていました。
そういった作品では、前後(子供・大人)との繋がりが意識的に薄くされ、ただ「青春」だけをクロースアップしているように見えて、違和感を感じることも多々ありました。

しかしながら、この作品はそういった類のものとは、やや一線を画しているような気がします。

主人公はある種の卓抜した能力を持っていて、それをたまたまだと言いつつ、実はある範囲の(自分の認める)人々には何らかの形で自分を評価して貰いたい、認めて貰いたい。
他者に見える自分のことを知りたい。でも、そんなことは面倒臭いし、合理的でない。
その葛藤、と言うと安っぽいですが…「感じ」が、物凄く丁寧に描かれているのです。

意識している/していないに関わらず、自分を他者に認めてもらい、規定していく作業は、ある種の「大人の階段登る♪」的な「過程」だと思います。
作中にあるタロットのたとえを引用するならば、主人公は{netabare}本人の「知恵(力)」「ひらめき(星)」によって他者(主にヒロインw)にとっての「願いが叶う(星)」よう行動しているのでもあり、そうやって「無気力(逆星)」「流れ任せ(逆力)」 {/netabare}などと見なしていた自分を、新たに他者との関係の中で規定し直しているのでは…と思います。
その歩みの遅々なること…理屈をつけなければ前に踏み出せない、しょうのない主人公。笑

「過程」を大事にする登場人物達に守られた、その遅さ・冗長さ。
美しい絵に支えられた、それでも飽きない画面の作り。
本当に素晴らしい作品です。

まさに「過程」である高校時代の物語だからこそ、理屈を含めた「過程」をじっくり描くことが大事だと思うのです。

投稿 : 2019/05/28
閲覧 : 232
サンキュー:

10

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