namakemono さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
久しぶりの純粋な絆の物語
近頃のアニメの恋愛至上主義的風潮や、演出や作画を重視する風潮に一石を投じたアニメ。
登場人物の全員が女の子である点は『ごちうさ』や『ゆるゆり』などといった所謂萌えアニメと類似していると思われがちですが、私は本作の魅力はもっと別の所にあると考えています。私の考える魅力を以下に記します。
1:動物の動作に忠実である
例えば、1話ではサーバルキャットの脚力や戦闘姿勢などを忠実に表現しており、2話ではジャガーの水泳能力やコツメカワウソのお手玉の習性、3話ではサーバルキャットと人間の可聴領域の違いやアルパカの瞳孔等々……登場する動物の習性を見事に再現しています。
これらの習性はどれも人間にとって違和感を引き起こさせるモノであり「なぜこのフレンズはこの様な動きをするのだろう?」といった疑問を常に問いかけてくれます。そしてフレンズの元となった動物について調べてくうちに、動物に対して興味が出てきます。これを機に動物に興味を持った人も少なくないのでしょうか。(かく言う私もその一人ですw)
2:アニメ的な演出が少ない
この意見については恐らく賛否両論があると思います。このアニメは、アニメ特有の演出を極力排し、現象をありのままに描くドキュメンタリー的な仕上がりになっています。(そういった意味ではAnimal Planetなどで放送される動物を見ている感覚に近いかもしれません)
動物(フレンズ)のありのままの飾らない動きをそのまま描くことで、動物の持つ自然さが引き立っています。このアニメを見て抱く癒しの感情は、アニメ界隈では飽和状態にある可愛い女の子に対するものより寧ろ、犬や猫などの小動物を見て抱くそれと似ていると思います。
3:人間社会では行われづらい純粋な友情による助け合い
この点は、私がこのアニメを高く評価する最も大きな要因です。
人間とは常に、相対する存在よりも優位に立ちたがる生き物であり、その衝動が資本主義的競争社会を発展させ、今日の文明を築きあげてきました。そんな人間社会で人の長所を素直に「すごーい!」等と評価できる人間はそう多くいません。しかし、このアニメのキャラクターはどこまでも純粋な目で他のフレンズを見ることができ、長所を褒め短所を補い合うといった、人間が文明を築く上で本質的に犠牲にせざるを得なかった精神を持っています。
また、恋愛感情や利己的遺伝子に起因しない純粋な友情に基づく自己犠牲も私は高く評価されるべきだと思います。
それは11話のかばんちゃんやサーバルちゃんに顕著に現れています。サーバルキャットと人間という異種でありながら、自分の身を犠牲にしてお互いを助ける場面は涙を禁じえませんでした。
総合的に、アニメ的な演出や世界観の整合性、人間的なドラマなどを重視する人たちからの評価は得られ辛いと思われますので、まさに賛否両論のアニメだなぁと思います。
長くなりましたが、私は現在のアニメ業界に対し新たな可能性を提示したこのアニメを、「すごーい!」と評価したいです。