どらむろ さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
NHKの古代生物教養アドベンチャー
生物学の教養番組を得意とする、NHKが制作したアドベンチャーアニメです。
15分枠で1期2期13話ずつの26話(好評なら続編あるらしい)
少年少女が、古生代(恐竜が生まれるより更に大昔)に調査しに行くお話。
NHK不朽の名作「ジーンダイバー」を彷彿とする設定ですが、本作は手堅いNHK教養アニメでした。
※レビューは1期2期を纏めて書きます。続編あった場合も本レビューに追記の予定。
{netabare}『物語』
舞台は遠い未来。地球は生命が住めなくなって、人類はスペースコロニーや太陽系の惑星に移住、一部では地球を捨てる恒星間移民も計画されている世界観。
そんな中で、少年ヴィンスと少女ハナは、パーカー博士の「カンブリア・プロジェクト」の調査員として、恐竜が生まれるずっと昔のカンブリア紀(2期はデボン紀)に「次元ダイブ」して、古代生物たちのロストコード(データ?)収集すべく大冒険するのだった。
90年代の名作「ジーンダイバー」を彷彿とするギミック、直接タイムトラベルしているわけではなく、データだけ古生代に飛ばして、遺伝子採取してくる。
主人公たちに敵対する勢力が地球捨てる派&移民派なのは「エレメントハンター」の後継作か。
エレメントハンターもデータ採集系ミッションでしたし。
見所は、恐竜すら生まれる前の、古生代の摩訶不思議な生態系や生命たちの、驚異や神秘。
元気ハツラツなヴィンスとハナが、活き活きと古代生物と触れ合っていく。
流石はNHK教養番組、専門家による考証も確かで、古代生物番組として普通に面白いです。
…本編後の「教えて!モーリス!」がコミカルで笑えたり、大英博物館のパーカー博士の解説も興味深かったり。
ヴィンスとハナは「バイオミメティクス・スーツ」というロボット(強化服?)を操縦。
2017年春アニメ「ID-0」のIマシンっぽい感じ。
データ容量の関係で人間よりちっちゃいので、古代生物が相対的に巨大で、脅威と迫力が増しているのは上手い。
人間大のままだと、数十cm程度のアノマロカリスは脅威にならないし…
ちっちゃいヴィンスとハナ、カンブリア最強生物のアノマロカリスは怖かった!
ターゲットのデータ採集する過程で襲われたり追いかけたりのアクションも見所、発想の柔軟なヴィンスとハナの機転で(後述のバイオミメティクス活かして)ピンチ切り抜ける展開も見応えあり。
…本作のテーマ「人類は生物たちから学ぼう」
ここで「バイオミメティクス」という概念を、パーカー博士(アニメ中と、実写のイギリス自然史博物館研究員)と劇中の活劇から学ぶことができる。
「バイオミメティクス(生物模倣)」とは、生物の身体構造や機能にヒントを得る技術、現代技術のトレンドみたいです。
ふたりがピンチ→スーツに現役の生物の特性インストール→強いぞバイオミメティクス!
分かり易い。実に分かり易くバイオミメティクスの有用性が分かる。
アノマロカリスら古代生物に対して、サメなどの現役生物強い系な感じ。
若干、テラフォーマーズっぽさも(作風違いますが)
この他の見所としては、ハナと、2期で加わったウェンディとの掛け合いや日常系パート。
尺不足でキャラドラマは限定的でしたが、最低限の交流はあった。
バイオミメティクスより大きなスケールの大テーマとして、私たち人間は、遥か昔からの生物たちの進化の果てに、今を生きている。彼らから学び、また人類が滅びず未来に向けて歩んでいこう、的なメッセージ感じました。
…この大テーマは、滅びかけの地球なんて捨ててしまえ!な敵勢力の妨害や対決を通じて描かれていたものの、15分枠の1クール×2期では、微妙でした。
1期の敵はエレメントハンターっぽいが、尺不足で思想に厚みが無い。
2期の敵エヴォルの野望「5度の大量絶滅・ビッグファイブに続く6度目の絶滅起こして人類の新たなる進化を目指す」?
も壮大ではあるんですが、なんで絶滅起こせば進化するんだろ…?とピンと来ない。
対するヴィンスの返しは、これまでの積み重ねが活きていて説得力はありました。
総じて、古生代の驚異と神秘を見せてくれるアドベンチャーで、15分枠で手堅く纏まっていた感。
本筋のストーリーやキャラドラマは、可もなく不可も無し。
ジーンダイバーはおろか、エレメントハンターにも遠く及ばないです(尺の関係で仕方が無いけれど)
中途半端な陰謀よりも、三人組の交流方面をもっと見たかったかも。
…反響次第では続編ある模様(というかNHKなら高確率でやってくれそう)なので、長い目で見れば、大いに期待できそうです。
『作画』
NHK教養らしく、垢抜けないけれど好ましいキャラデザ。ハナもウェンディもカワイイです。
スーツ形態も可愛いんですが、もっと顔見えた方がよかった。
パーカー博士は、実写そっくり。実写の方がハンサムかも。
見所は綺麗なCGによる大迫力の古生代!
アクションも満足です。
『声優』
田谷隼さんはヴィンスが初主演、溌溂とした少年らしさ十分でした。東のエデンの春日晴男の人。
ハナの諏訪彩花さん、ウェンディの田中あいみさんも良い感じ。
水橋かおりさんは「ピカイア~!」としか喋らないけれどカワイイです。
辻美優さん、花房里枝さん、高橋美衣さんは「教えてモーリス!」でラジオっぽい楽しさ。
大川透さん、野島裕史さんら男性陣が上手い。
檜山修之さんの黒幕感は流石でした。
『音楽』
1期OP「カラフルファンタジー」が良かった。
EDは楽しい系で、子ども向け教養番組っぽい。
『キャラ』
好奇心旺盛で活動的な少年ヴィンス、お転婆で負けん気の強いハナは、活劇主人公としては十分でした。
ハナはケーキ大好きだったり、気持ち悪い生物キライだったり、かわいい。
案内役のマスコット・ピカイアの可愛さと健気さも光った。(物理的にも)
案内役のパーカー博士、クールだが実は情熱的なモーリスも良キャラ。
この二人は本編よりもおまけで活躍。三人娘の方がハナたち以上にキャラ立ってたような。
実写のイギリス自然史博物館のアンドリュー・パーカー博士の解説とても分かり易かった。
1期は機械人形的なクール美少女、2期は(しれっと仲間になってた)ウェンディ可愛いです。
2期は少しずつデレたり、お茶目な一面が出てきたり。本作で一番華がある。
フレイザーとの関係や、敵対してたハナ達との確執とかありそうなものですが、ここら辺のドラマが薄いのは残念。
フレイザー副大統領…2期でキャラ変わり過ぎじゃないですかね!?
キャプテンフレイザーw
失脚後いったい彼に何があったのか…
エヴォルは…格上の強敵感はありました。{/netabare}