岬ヶ丘 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
長門とキョンの物語
原作未読。09年度版に引き続き視聴。
テレビシリーズとは打って変わって全体的にシリアスな展開や演出が多く、これまでのハルヒとは違うやや異質な印象を受けた。シリーズ集大成的な立ち位置でもあり、テレビシリーズの伏線が綺麗に利用・回収され、これまで以上に壮大なスケール感で物語が繰り広げられる。
タイトル通り、ハルヒが消失してしまったことによってハルヒの出番はテレビシリーズに比べると大きく減っている。その分これまであまり存在感のなかった長門が強くフィーチャーされており、改変世界での長門とキョンの関係性が作品の大きな柱になっていた。改変世界での長門の変化は改変後でも微妙な部分もあったが、そのわずかな仕草や振る舞いがここまで大きなインパクトを与えるとは思っておらず、「長門いいなあ」と思ったのは自分だけではないと信じたい。長門役の茅原さんのお芝居もよかった。
解釈は様々あるだろうが、この物語はこれまでハルヒに巻き込まれた傍観者としてのキョン、ハルヒを観察するためだけに存在した対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェースとしての長門の、SOS団やハルヒへのそれぞれの立ち位置や感情が大きく変化した、という大きな分岐点的なものだと感じた。
作中内での時間軸の変化はかなり複雑で、初見で原作未読だと中盤から終盤の時間軸の流れや関係性が理解しにくい点はあった。特に3年前の七夕の時間軸では伏線が二重三重と張り巡らされており、未来のキョンまで現れる展開。よくもまあここまで緻密に時間設定を考えられるなと原作者のストーリー構成に素晴らしさを再確認。
演出面では改変世界か、元の世界のどちらを選ぶかキョンが選択を迫られた場面で栞を切符代わりに改札に入れるシーンや、キョンが入部届を長門に返すシーンが印象的だった。またラスト病院の屋上、キョンの「ゆき(有希・雪)」のセリフはこの作品の見どころ。
ハルヒシリーズの本作以降の映像化の展開は今のところないようなので、この劇場版が原作アニメとしては一つの区切りになるのかなと。テレビシリーズはやや辛口だったが、劇場版の方は概ね満足。本作のためにテレビシリーズを見てきた部分もあるので、そういう意味ではエンドレスエイトの完走も報われたと思う。これからのSOS団の活躍が楽しみになる終わり方だった。