岬ヶ丘 さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
00年代を代表する名作、なのだが
原作未読。06年度版は未視聴。
どのジャンルでもいわゆる名作と呼ばれる作品がある。個人的な意見として、それは是非見ておきたいと純粋に思える作品か、とりあえず見ておかなければというある種の義務的な理由による作品に大別される。自分にとってこの作品はどちらに該当する作品なのだろう、と考えながら視聴した。
06年度版を見ていないので詳細は分からないが、09年度版は時系列順なので初心者でも比較的入りやすい構成になっていると思う。各エピソードが06・09年度どちらに製作されたのかはOPEDや画質の変化を見れば、簡単に見分けがつく。新作エピソードの方がやはり画はいいが、旧エピソードとの質の違和感はあまりなかった。
物語を時系列に並べてみれば、1年もない季節を細かく刻みながら、緻密で丁寧な時間的設定がなされていることが伺える。特に七夕の話は後の劇場版に大きく絡んでくる重要な話で、この話単体でも十分面白い。
大変個性豊かなキャラクターが登場するが、誰に感情移入できるかで作品の評価も別れるかもしれない。個人的にどうにも自己中心的で突発的なハルヒになかなか好感が持てず、彼女に振り回されるキョンの存在なくして物語の完走はなかったかな。より具体的に言えばキョンを演じた杉田さんのあのなんとも言い難い絶妙な語り口があってこそ。また彼女を陰で支える古泉・長門らに労いの言葉をかけたい。
事前知識のあった有名なエンドレスエイト、文化祭での演奏シーンは確かに素晴らしいクオリティーだった。このあたりが本作が名作と呼ばれる所以かと感じたので、その部分は十分堪能できたと思う。ただエンドレスエイトに関しては、個人的にやり過ぎたとは思う。8月だから8回繰り返したとしても、8回繰り返す必然性を感じないし、遊び心にしては毎回妙に手が込んでおり、ただの手抜きともいえない。評価が難しいエピソード群だった。恐らく一番大変だったのは声優さんだったんじゃないかなと。
OP・ED、文化祭の歌をはじめ音楽面でも当時社会現象になっていたそうで、その後のアニソンにとっても大きな転換点だったという話を最近某ジャニーズのテレビ番組で耳にした。色々な意味でエポックメイキングな作品であり、だからこそ賛否両論ある作品になっているのかなと感じる。
00年代を代表するアニメであり、名作である。ただ同じ名作でも評価としては個人的には残念ながら後者だった感が否めない。劇場版を見るためのテレビシリーズという意味合いもあったので、劇場版を楽しみにしたい。