Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
「君に生きるのを手伝ってほしい」
この作品の原作は未読ですが、この作品自体が物凄い話題になっていたので気になっていた作品の一つで、ようやく視聴に漕ぎつける事ができました。
この作品の主人公は、高校3年生の石田将也…
これまでの僅かな人生…ですが彼はその中で贖罪を背負いながら生きてきました。
これは彼の贖罪の物語…そして場面は小学生6年生時代に移って物語が動いていきます。
きっかけは一人の少女…本作品のヒロインである西宮硝子が転校してきたこと…
彼女は生まれつきの聴覚障害者だったのですが、その「周りの人との違い」が摩擦を生むことになるのです。
聴覚障害…何も聞こえない音のない世界…
人は自分の身の周りの情報の殆どを視覚と聴覚から得ているので、その一つがぽっかりと抜け落ちてしまった世界は、きっと怖いと感じると思います。
だからそんな世界を懸命に生きようとしている人には手を差し伸べられる人間でありたいと思います。
そんなこと、今の小学生だって分かっていること…
だけど、人の心がそんなに簡単に割り切れないのも事実…
きっかけはとても些細…でも引っ込みのつかない気持ちが拍車を押し、ふと気が付くとエスカレートし過ぎている…という事ってありますよね。
彼女は一生懸命だったと思います。
だって、同じ学校生活を送るなら友達と楽しく過ごしたいです。
きっと、一歩踏み出すのも相当勇気が必要だったと思います。
でも彼女はちゃんと踏み出しました。
やり方は自分なり…でしたけれど、それが彼女の精一杯だったんだと思います。
彼女の差し出すノートは希望で満ち溢れる筈…そんな夢だってきっと何度も見たと思います。
現実は、夢とはだいぶかけ離れていましたけれど…
彼女のちょっとはにかんだような愛想笑いが胸に刺さります。…
人ってどういう顔して良いか分からないとき咄嗟に笑顔を作る事があると思います。
諦め成分がたっぷり入った作り物の笑顔…
でもこれ…小学生がしていい顔じゃないと思うんです。
彼女の一生懸命が何を招くのか…その答えは是非本編でご確認頂ければと思います。
タイミングは直ぐ…じゃないかもしれない。
けれども、行動に対する結果は必ずついてくるものだから…
それを一番痛感したのは、間違いなく主人公の石田将也だったでしょう…
因果応報…彼がこの言葉の真意を会得するのに多くの時間は必要ありませんでした。
その因果を贖罪と位置付けて向き合い、高校生になった将也が踏み出した一歩がこの作品のもう一つの顔です。
「自分の事を好きになれますか?」
こんなテーマが内包されていたように思います。
自分の犯した罪は消えない…
その罪は人の記憶からも消えることはない…
そしてその罪はどれだけ月日を費やしても突然姿を現し、平然と心を抉ってくる…
そう思えるのは自分に課した痛みが足りないから…?
償いきれていないから…?
そう考えると、人は後悔で出来ているのかもしれない…
だからやり直すチャンスがあるんだ…
次の一手を間違わないために考えることができるんだ…
そして…人は変われる…
大切なのは気の持ち方…なんだと思います。
本当に色んな事がありました…
でも振り返ってみると喜びも痛みもすべては次の一歩に繋がる糧だったと思います。
将也と西宮に待ち受ける未来…是非本編でご確認頂ければと思います。
キャストですが、はやみんが聴覚障害者という難しい役に挑まれましたが、彼女の迫真の演技に正直圧倒されちゃいました。
これはもうはやみんの天性の才能なんでしょうね。
それにはやみんと悠木さん…この組み合わせも堪らなかったです。
そのほかにも藩さん、石川由依さんなど旬な声優さんも出演されているのもポイントだと思います。
京アニさんの作品なので、キャラデザは可愛いし良く動いています。背景もとても綺麗で申し分ありません。
全てにクオリティの高さを感じることのできる作品だったと思います。
最後に、願わくば将也と西宮に末永い幸があらんことを…