「GANTZ~the first stage~ガンツ(TVアニメ動画)」

総合得点
63.6
感想・評価
343
棚に入れた
1460
ランキング
4278
★★★★☆ 3.4 (343)
物語
3.5
作画
3.4
声優
3.4
音楽
3.3
キャラ
3.4

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ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

新しい朝が来た♪希望の朝だ♪

※2期のthe second stageまで含めた全26話の感想。

原作コミックは未読。

エロ、グロだけでなく、私としては同時代性も印象的だった作品。

冒頭、地下鉄ホームのシーンから惹き付けられます。
線路に転落した酔っ払いホームレスをどうするかを巡って、
善意を抱けない面倒くさがりの小市民や、
まさかの正義感で突っ走る元同級生に困惑する主人公少年などの
心の声が反響する演出。

21世紀初頭、ネット世界にも拡散していく、
“普通”の市民が善良な顔の裏に隠匿した、
正義や思いやりへの倦怠感を上手く表現できていると思います。

この後、本作はピッチリ過ぎるガンツスーツに強調される
美女のボディラインやセックスシーン。
剥き出しにされる人体の内部構造や部位欠損、破裂シーン。
などの数多くのタブー要素がぶちまけられますがw

初回に社会性が強い表現を置くことで、
『GANTZ』のエッジで切り出せるのはセクシー、バイオレンスのみに止まらない。
その気になれば、時代の腑(はらわた)くらいいつでも引きずり出せる……。
作者の宣戦布告が叩き付けらたと感じた私は
作品世界の奥底へと誘い込まれました。


好きなキャラは西くんなどになりますが、
作中、一番、印象に残った……と言うより最もムカついた(苦笑)キャラは、
杉原のおばあちゃんと孫。
“社会的弱者”への福祉で現役世代が押し潰される……。
当時、水面下で蠢いていた漠とした不安、被害者意識。
昨今、ネット上で“弱者”の落ち度を集団で袋叩きにする状況にも連なる苛立ちが、
空気読めない祖母と孫のイタイ言動の数々に刺激され覚醒しますw


個人的にさらに脳裏に焼き付いているのは、
本作がミッション開始前に流れる曲に「ラジオ体操の歌」を選曲したということ。

ガンツによってかき集められた老若男女様々なメンバー。
この人たちが共有する歌は何だろう?と突き詰めた時、
「ラジオ体操の歌」という一手は、
ふざけているようで、実はかなりの妙手だと私は思います。

上の世代が“誰も知らないミリオンセラー”と揶揄するポップスでも、
下の世代が反応に困る「北風小僧の寒太郎」などの演歌でもない。
つながりが希薄になった日本人に残された微かな絆が、
各々幼少より刷り込まれたラジオ体操というシュールな指摘?に唸らされます。


その他、例えば男子高校生の抑えがたいリビドー(性衝動)が、
紐が切れた投擲武器の如く飛んでいき、暴力性へと直結していくシナリオ展開。
意味不明さから恐怖を醸し出していく個性的過ぎる“星人”等の危険要素が、
GONZOのCGを交えた作画と共に視聴者の脳天に照射される。

色んな方向にメーターが振り切れた、何ともイタ気持ちいい?SFアニメ作品です♪

投稿 : 2017/05/27
閲覧 : 471
サンキュー:

20

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