MLK さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:----
無題
前世紀、アニメーションがまだテレビ漫画と呼ばれていた時代、おもちゃの販促のために作られるロボットアニメは、隠れ蓑に隠れて作り手たちにとって自分たちのやりたいことを発揮する格好の場であった。
エロという大義名分により過激なシナリオが量産され、エロゲー業界はにわかに盛り上がった。
その現代版が、この作品なのだろう。
表層的には、しょうもない下ネタのオンパレードである。しょうもないもの大好きな私にとってはこれだけで大満足なのであるが、その実この作品は人はなぜ生きるのかというなかなかに深い問いを発している。
この作品に出てくる人物は軒並み変人であり、特にヒロインである華城綾女は頭にパンツを被り全裸にシーツで白昼闊歩するような正真正銘の狂人なのであるが、他のアニメのヒロインと比べてもどうしようもなく魅力的なのである。
その理由は、彼女の魂の美しさにある。掟に反発して自分の主張を貫き通そうとするが、他者に迷惑のかかるようなことはしない。このバランス感覚は、昔の少年漫画の主人公に通じるものであり、うかつに正しさを語れない現代という時代における貴重な存在となっている。
最終回手前で行う演説はまさに彼女の正義の所信表明であり、我々に信念を持つ勇気をくれる。
見た人全員がこのような感想を持つかは分からないが、近年の中でもなかなか面白い作品の一つであることは確かである。