ちあき さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
自分とは何か……?
「自分とは何か……?」
自分とは名前か? 出身か? 血か? 親か? それとも兄弟か? 家族か? 家か? 故郷か? 住まいか? 仕事か? 役職か? 役割か? 利用価値か? 友か? 恋人か? などなど……。
主人公の苦悩、また物語全体を通して「自分とは何か」ということを訴えかけてくる作品でした。
この作品の中に上記の答えは明確化されていません(むしろ私は明確化されていない事が重要だと思います)が、生きる上で避けては通れない疑問、そしてそれを言葉を介さず訴えかけ、私達に問いかけている。そのことを軸に物語が構成されているように私は思いました。
またストーリーに関してですが、私自身も感じたことですが、多少難解に感じる所があるかもしれません。しかし、最初から「伏線がありますよ」というのは作品から伝わるので、真剣に見ていれば問題ないと思います。伏線も物語の進行と共に収束していき、最後にはある程度の理解をさせてくれる作りになっています。
ただ、時間が空くと忘れることも多いので観るのであれば、一気に観ることをお勧めします。念のため、本当に自分の理解であっているかなと、最終回後に少し調べました(私は名前を覚えるのが苦手なのでその確認も含めて調べました)が、ほとんど人間関係等々の理解は追いついていました。
そういう設定や用語の理解を含め、ストーリーの展開の仕方、終わり方とも私は素晴らしい作品だと思います。
これは少し余談になりますが、調べる際に「新世紀エヴァンゲリオン」と類似している等々の論評を目にすることが多くありました。実際、私自身もエヴァンゲリオンを観たことがあるので、最序盤のうちはそのように感じることもあったのは事実です。しかし、2話、3話、4話と物語が進みにつれて、エヴァンゲリオンとイメージを重ねるのは間違いであると思いました。この作品はエヴァンゲリオンとは全く別の作品だと私は思います。
たとえよく似ている姉妹作品、兄弟のような作品だとしても、兄は兄であって弟ではないし、弟は弟であって兄ではありません。姉妹も然りです。代わりになどなれないし、入れ替わりもできません。それに比べるものでもないと思うのです。本作はエヴァンゲリオンではなく、ラーゼフォンです。
本作が訴えかける「自分とは何か」、そうやって「自分を見つめる」ってことと同じように、本作を観るためには、ラーゼフォンそのものを観る必要がある。実はそのような事も本作は訴えかけているのかもしれません。
私はそのように思います。