どらむろ さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:今観てる
王道な部活立ち上げ系青春物で、ライトな歌舞伎紹介。エンジョイ勢の情熱だって真剣!
キャラクター小説(一般小説とライトノベルの中間?)原作、全12話。
高校生たちが歌舞伎をがんばる、王道な部活青春物です。
歌舞伎に縁の薄い層(作中キャラ達も、視聴者も)向けに、親しみ易く歌舞伎の魅力紹介する感じ。
堅苦しさよりも、楽しむ事を大事にしつつ、真摯な情熱もあり。
…佳作なのですが、良作以上には若干届かぬ印象も。
{netabare}『物語』
歌舞伎が大好きな主人公・来栖黒悟(くるすくろご、愛称クロ)が入学した高校で歌舞伎同好会を立ち上げるべく、仲間たちを巻き込んでいく。
ただでさえ若者には縁の薄い古典芸能、部活メンバー集めに難航しつつも、持ち前の情熱と機転で、徐々に個性的なメンバーが歌舞伎の青春に打ち込んでいく…
実に王道な部活立ち上げ青春物。
主人公が最初から筋金入りで、巻き込む側、かつ「裏方に徹する」のが特徴でした。
部員集めに難航するのはお約束、でもさほどギスギス感は少ないので、雰囲気がライト。
個性的な面々のドラマがあったり、やや挫折もありつつ、王道お約束な展開。
他の部活(演劇部)や、歌舞伎の御曹司との確執などで若干のシリアスはあるも、クロたちのスタンス「歌舞伎が好き、純粋に楽しむ」で無理なく進展していくのが良いです。
あまり専門的な領域には踏み込まない、いかに自分たちが楽しむか、いかに縁の薄い人たちに楽しんでもらえるかを重視していた。
歌舞伎の素人視点で、少しずつ歌舞伎の楽しみ所を見せてくれる入門アニメとしても好印象でした。
エンタメの本質、原点。それは自分が楽しみ、人を楽しませる。
それを歌舞伎という題材で分かり易く見せてくれた。
クロたち歌舞伎同好会を頑なに拒む御曹司・蛯原(えびはら)もさることながら、中盤の演劇部との対決と顛末でも、分かり易かったです。
一方、終盤の御曹司との確執と解決は、些か強引な印象。
あれでは分かり合えてないような…
クロと蛯原が語り合うシーン含めてホジティブな余韻はありますが、もっと分かり易く友情見せて欲しかった。
蛯原がデレるのが遅すぎたような。
部員たちの雰囲気良い反面、青春ドラマとしては予定調和で地味かも。
これはクロが有能過ぎる良し悪しか…
あと、肝心の歌舞伎の醍醐味が、素人視聴者(私とか)には伝わりにくいのも不利。
これは題材が難しかったか。
総じて王道で親しみ易い青春系&入門系の佳作でした。
青春物としても入門物としても、カタルシスが足りずやや地味だった印象。
でも、確かな魅力はあったです。もう少しくらいは評価されていい気がします。
『作画』
キャラデザは十分。リリ先輩はかなり美少女でした。
アニメという媒体での歌舞伎の表現は、難しかった模様。
…いや、完全素人なので、良いか悪いかも判断できませんけど。
『声優』
本作が初主演の市川太一さん初め、配役は良かったです。
河西健吾さんは蛯原の頑なな感じはまり役。
MVPは本作のエース阿久津役の逢坂良太さん、素人目線では蛯原より上手いというか、確かな力を感じる。
…逆に言うと、作中での素人とプロの実力差が分かり難い弊害も。
『音楽』
OPよりも、ED「お江戸-O・EDO-」が印象的。タレントの糸井重里さん作曲だそうで。
歌舞伎っぽさと、ライトに楽しむ姿勢が伝わる良曲でした。
『キャラ』
主人声のクロは積極的に巻き込む側で経験者、序盤は押しの強いウザさありますが、次第に裏方としてメンバー纏めていく策士っぷり発揮。
主人公が裏方に徹しつつ、しっかりストーリー作っていくのは面白い。
…青春物主人公としては些か有能過ぎた感も。
人格面では完成されたタイプ故に、成長のカタルシスは少ないです。
仲間たちが個性的で中々面白いのは本作の強み。
特に本作の真エースだった阿久津は歌舞伎バカ(褒)で見ていて面白かった。
御曹司こと蛯原は、中々デレない頑固者。
一貫して楽しむスタンス揺るがないクロよりも、自分の歌舞伎の在り方に悩む蛯原の方が主人公っぽい。
…けれど、最後の最後まで蚊帳の外になりがち。
他にも地味眼鏡だがお茶目な蛇ノ目丸子が面白い女の子。
美少女なリリ先輩かわいい。
演劇部スターの浅葱芳、おねえ男子の丹羽花満(にわはなみち)などキャラ立っていた。
先生や先生の父、蛯原祖父など大人たちも粒揃い。
…何気に印象に残る、演劇部部長、性格きついけどかわいいです。
蛯原と似た真剣な矜持で立ちはだかる、実は…
この人中心にした演劇部のドラマももっと見たかった。{/netabare}