狗が身 さんの感想・評価
3.6
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
蟲に監視され、瘴気に怯え、腐海に感謝しなければならない日々って…。
ナウシカとユパがひたすら格好良い。
だけど…全体の感想としては「微妙」ということで落ち着く。
設定とかを色々いじってはいるものの基本的には原作の途中までで終わっているからなのか、オチで全然スッキリしないんだよねー…。
人類の文明のせいで汚れてしまった世界で、猛毒の瘴気を放つ菌類が全土に繁殖していて、人々は瘴気と蟲に怯えながらも細々と生活を営んでいる。
中盤辺りで実は瘴気を放つ腐海と呼ばれる森の地下深くでは濾過された綺麗な砂と水が着実に作られているのだが、しかし、それが世界中に満ちるまでには気の遠くなるような年月を必要としていて、それまで人類は、いつか世界が綺麗になることを夢見ながら蟲と腐海に感謝の念を忘れず生きていかなければならない。
…というのが、個人的にしっくりこなかった。
いくら人類が悪いといってもなー、あんな風にいつ病に冒されるとも分からない中で怯えながら生きていくってのが不憫に思えてならないんだよ。
トルメキアのような国ならまだしも、風の谷の住人なんて、良い人たちばかりなんだもの。どうにかならないかなあって、やっぱり考えちゃうよ。
途中に出てきたナウシカの研究と腐海の事実を絡めて、もう少し希望を感じるエンディングには出来なかったのかな~。
そういう苦しい環境でも生きていける人の生命力というか逞しさを描いた感じでもないから、なんか引っかかるんだよ。
だってこれって実質、人の活動領域と繁栄の規模を蟲に管理されてるようなもんだよね?
そう考えるとこの世界観、ちょっと怖すぎて素直に楽しめない。ナウシカなんて基本的に「蟲は悪くない。悪いのは人間」ってスタンスだし…。
だけどここまでハードな世界観で描くのなら、いっそのことナウシカを死なせるラストの方が、作品としては良かったかもしれないね。風の谷に伝わるあの伝承だけ、なんか作品から浮いてるというか強引な感じするんだよね。
先に『もののけ姫』を観てしまったからか、劣化版、という印象を拭えない。