Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「心への侵食」
この作品の原作ゲームは未プレイですが、「その目、だれの目?」の台詞が印象的だった「CHAOS;HEAD」で発生した渋谷地震から6年後が物語の舞台になっている事が早期に発表されていたので、未視聴だった「CHAOS;HEAD」を
視聴してこの作品の放送に備えていました。
正直渋谷地震に被災した「CHAOS;HEAD」の主要登場人物の後日談が見たい気持ちもありましたが、物語の舞台を同一としてキャラを変えたのはきっと相応の理由があるから…
それに志倉千代丸さんの作品だから、きっとあっと驚く展開が待ち受けているに違いない…
そう思いながら視聴に臨みました。
渋谷地震により街はほぼ壊滅しましたが、6年の月日が経過した今…街は復興を遂げようとしていました。
形ある物は元に戻せる…典型的な事例ですが、あの惨劇がもたらした心の傷の癒えない人が存在するのも事実でした。
この物語の主人公は、高校3年生の宮代拓留…彼は新聞部に所属していたのですが、とある日を境に彼の身の周りで起こった奇妙な事件を追いかけていました。
奇妙な事件…それは前作を視聴していたら…或いは物語に住まう人達には奇妙としか言いようがない事件だったんです。
何故なら死に方があまりにも猟奇的であること…そしてもう一つは2009年に起きた「ニュージェネレーションの狂気」と同じ日に事件が起こっていること…
だから今回の事件は「ニュージェネレーションの狂気の再来」と呼ばれていました。
そして、高校の新聞部が追いかけるにはかなりの大物ですが、やりがいを見出すには十分過ぎるくらいの事件…
こうして新聞部は事件の真相に迫るべく物語が動いていきます。
前作「CHAOS;HEAD」も痛みを伴う作品でしたが、今回はそれ以上だったのではないでしょうか。
人はこの世に生を受けたらいつかは必ず死を迎えます。
温かなベッドの上で最愛の人と手を繋いで家族に見守られながら…なんて贅沢は望みませんが、せめて人としてまっとうな死を迎えたいものです。
ですが、この事件の被害者はただの一人もただそれだけの希望すら許してもらえませんでした。
人の死に方にバリエーションなんていらない筈なのに、どうしてそんな死に方を思いつくの…?
これが私の正直な気持ちです。
こんな凄惨な死に方をしないと物語が進まないのか…というと決してそんな事は無いと思います。
それにただの個人的定義ですが「超えてはいけない一線」を安々と超えてきた作品でした。
原作ゲームのレイティングがCERO:Z(18歳以上のみ対象)であるのが激しく理解できます。
これまでも人の死に痛みを感じる作品はたくさんありました。
緻密な作画やSEが恐怖を助長させる作品…
物語の展開として徐々に恐怖が増した成れの果て…
そしてこれは過程が一切なく突然突き付けられる状況そのものに痛みを感じる…といった類の作品だったと思います。
そんな「狂気」が脈々と流れる作品…気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
オープニングテーマは、いとうかなこさんの「Uncontrollable」
エンディングテーマは、鈴木このみさんの「カオスシンドローム」
志倉さんといとうさんの鉄板の組み合わせ…もう最高です。何も言う事はありません。
鈴木さんのエンディングも相当恰好良かったです。
1クール全12話の物語でした。
今回のレビューは作品から受け取った痛みについて記載しましたが、ストーリーについては敢えて触れませんでした。
それはこの作品の続編に位置する「CHAOS;CHILD SILENT SKY」の制作が最終回に発表されたからです。
この作品の物語の印象は、続編によって改変される可能性を秘めていると思っています。
いえ、是非改変して欲しいです…この作品は痛みでできていたようなモノでしたから…
どの様な形で続編が視聴できるかは分かりませんが、しっかりと物語を纏めて貰えることを期待しています。