インド人を右に さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
友利奈緒を好きになれるかどうか
なかなか感想をまとめるのが難しい作品でした。
ストーリーはテンプレ的設定に、テンプレ的&ご都合主義的な展開が目に付くので途中で辟易する方もいるかもしれません。
P.A.WORKS制作で背景はさすがにきれいですが、今回は3Dに頼っている感が強いです。また背景が綺麗なせいで高城くんの体を張ったギャグ(?)がシャレになっていない感じがして、そういう意味ではP.A.WORKSの背景は題材を選ぶのかもしれません。(アニメ背景における"不気味の谷"というか…)
ただ上記は細かいことで、一番のハードルはヒロインの友利奈緒を好きになれるかどうかだと思います。クール系ヒロインは数居れど、彼女ほど見た目にわかる"デレ”が無いのも珍しいのでは。
パッと見では、デレない感謝しない冷たい暴力女に見えます。
当初は私も彼女がどういうヒロインなのか、そもそも本当にヒロインなのかと困惑していましたが、友利奈緒は恋人ポジションのヒロインではなく、母親ポジションのヒロインだと理解したとき、納得がいきました。そして好きなキャラになりました。
そもそも彼女が主人公の前に現れたのは、主人公を保護するためで、もう登場時点で友利は"保護者"の立場なんですね。
またわかりやすい変化は、中盤でしょうか。
主人公(乙坂有宇)が母親役だった妹の歩未を失い闇堕ちしかけたときに、
友利が歩未の代わりを演じて主人公を更生させ、ここで友利は完全に母親役ポジションを確立します。
その後の最終盤では、「信じているからいってらっしゃい」と言わんばかりに、主人公を送り出します。もう家の玄関で見送る母親か妻かといった感じですね。
このアニメは不自然なまでに、"まともな大人"がほとんど登場しないのですが、それも友利=保護者の構図を固めるためなのかもしれません。
友利がなぜこんなにも保護者的な振る舞いをするのかが今一クリアでないですが、自身と兄を悪い科学者に売った彼女の母親に対する反抗…ということでしょうか。
上記を踏まえて観ると、主人公のクズっぽいところの描写や、家族を人質にとられてホイホイ操られるおじさんの存在とかも、保護者と非保護者の構図を描くためなのかなと思えてきます。
勿論見方はいろいろあると思いますが、一つの視点としてとらえていただけると幸甚です。