Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
ラグビーの経験は学校の授業で少しやった程度…でもこのスポーツの熱さは感じられたと思います。
この作品の原作は未読です。これまで、野球、サッカー、バレー、テニス、陸上、バスケ、水泳、卓球などスポーツものの作品はそれなりに視聴してきました。
それらのスポーツの共通点は、これまでそれなりに体験や観戦をして基礎的な部分を知っていたり、或いは勝ち進む苦しさやプレイ中の孤独感を経験してきた、という点です。
一方、ラグビーは観戦経験も無ければ、経験も学生時代の授業で少しやったくらい…
知っているのは相手陣地にトライする事とボールを前に送ってはいけないという事…つまりずぶの素人がラグビー作品を心の底から楽しめるか…という部分に正直自信がありませんでした。
でも「百聞は一見に如かず」という諺がある様に、これまで自分の食わず嫌いな性格のせいでどれだけ遠い回り道をしてきたのか…なんて考えると、もはや私の中で「視聴しない」という選択肢はなくなっていました。
この様な過程を経て視聴を始めたのですが今では視聴して良かったと心の底から思っています。
それはラグビーという競技…というより、一つのスポーツに打ち込む姿がどこまでも真摯だったところにしっかり感動させてもらました。
中学までは部活でラグビーをする事は無く、殆どの人が高校デビューとなるスポーツ競技…
1チームの人数は15人でフォアード、バックスに様々なポジションがありそれぞれ果たすべき役割があって、一つとして捨て駒的なポジションは無いスポーツ…
スポーツを極めようとする時の最初の障害であり、その障害と一生向き合っていかなければいけないのが体格差…
筋力は鍛えれば増やす事ができます。
きっと瞬発力やジャンプ力だって鍛えれば数値は伸びると思います。
でも自分ではどうしようもないのが身長を含めた体格差だと思います。
もちろん、体格差を身体能力でカバーする事も可能です。
でもそれが実践できるのは、きっと一握りの選ばれた人だけ…
努力で手が届くところは誰もが到達できる…いわば通過点だと思います。
そこから先の…努力では絶対届かない領域に足を踏み入れた人だけが見る事を許された景色ってきっと全然違うんだと思います。
学生時代に嫌と言うほど味わった体格差を感じないスポーツがあるなら…
それはきっと真摯に取り組んで後悔しないスポーツだと思いました。
作品の中で「誰だって主役になれる」「ボールを持っているヤツが主役」という台詞がありました。
これは体格だけに依存する事の無いスポーツである事にほかなりません。
事実、この物語の主人公である祇園健次は小柄で身長は160㎝もありません。
一般のスポーツなら活躍できる範囲が限定されてしまう事でしょう。
そんな小柄でもみんなと同じ場所に立って取り組める…こんなに嬉しい事って無いと思います。
もちろん、努力を怠っては結果はついてきません。
どのスポーツ作品…いえ、ゆるふわ系の作品を除きどんな物語でも共通しているのは、出来る事は全部やる…全力で取り組むのは大前提です。
一心不乱に打ち込んだ分だけ勝った時の喜びや負けた時の悔しさに気持ちが直結しているから…
そして心が乱れるのは勝負の結果だけではありません。
普段の練習だって人の心をへし折るのは朝飯前の事でしょう…
それは集団で行うスポーツ特有の事だと思います。
最初のスタート地点はみんな一緒…
だから喜びも苦しみも均等に分け合える…
でも最初から最後までみんな横一直線で進むなんて事は決してあり得ません。
否が応でも感じてしまう…気付いてしまう仲間との差…
かけがえのない仲間も見方を変えればライバルなんです。
そして15人もの人数で行う競技もポジションは唯一無二である事…
ライバルの背中ばかり追いかけていたのでは永遠に舞台に立てるチャンスなんて回ってこないんです。
だから真摯に向き合った分だけ心も擦り切れるし挫折も味わう…
でも大切なのはそこがゴールでは無いという事…
今の神高は決して強くありません。
でもまだまだ伸び代はあると思います。
「自分達の本気…こんなモノじゃないだろ…」
自分を奮い立たせながらこれからも全力でフィールドを駆け抜ける勇姿を…もっと熱い展開を楽しみにしています。