一日分のビタミン さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
北の国の静かな闘い
現代の千葉(00年代)と昭和末期の北海道の架空の市(モデルは苫小牧)を行き来するタイムリープ・サスペンス・ミステリー。アニメながら浮ついたところはなく現実の小学生ができる手段で児童虐待、連続誘拐殺人からクラスメート達を救っていきます。
鬱屈した曇天と主人公悟の静かな闘志。吹雪に掻き消されまいと命の輝きを放つかのような加代の真っ赤なコート。雪国を舞台とした静と動の対比が強く印象に残ります。
低評価のレビューでは他の作品と比較してタイムリープの設定が雑とかミステリーとしては凡庸といった批判が多いです。確かに序盤で分かりやすく犯人を臭わせていたりタイトルで先が予想できたりと世評ほど謎解き目当てで見るものではないかもしれません。また児童虐待というデリケートなテーマを扱っているので悟の行動に危うさを覚える人もいるかもしれません。言うまでもなくそれは悟の「踏み込めなかった」という後悔の裏返しでもあるのですが。
「勇気は伝播する」。一人の人間の行動が周囲にそして本人の人生にどう影響を与えるかが本作のテーマなのではないでしょうか。